CVR約2倍。再春館製薬所がOmakase AIで実現した、“プリーザーらしい”オンライン接客

漢方の製薬会社をルーツに持ち、基礎化粧品「ドモホルンリンクル」を中心に、お客様一人ひとりの悩みに寄り添ってきた再春館製薬所。
同社が長年大切にしてきたのが、「お客様プリーザー」と呼ばれるオペレーターによるコミュニケーションです。
商品の説明をするだけではなく、お客様の言葉を受け止め、悩みの背景まで聞き深めながら、安心・納得につなげていく。その「会話」こそが、再春館製薬所の顧客体験を支えてきました。
一方、顧客接点が電話からWeb・スマートフォンへ移るにつれ、これまで電話で実現してきたような会話のキャッチボールを、オンライン上で提供することが難しくなっていました。
そこで導入されたのが、接客AIエージェント「Omakase AI」です。
従来のチャットボットのように質問へ回答するだけではなく、お客様の言葉に共感し、質問を返しながら悩みを「聞き深める」。
再春館製薬所が培ってきた接客思想をAIへ落とし込むことで、オンラインでも“プリーザーらしい”接客を実現しました。
トライアルでは、Omakase AIを利用したセッションのコンバージョン率が、非利用セッションと比較して約2倍に。予定していた3ヶ月のトライアル期間を待たず、本導入を決定しています。
今回は、Omakase AI導入の背景から、AIと有人対応の役割分担、得られた成果、そしてCRMと連携した未来の接客について、株式会社再春館製薬所の石橋様にお話を伺いました。

再春館製薬所の強みだった「会話」が、オンラインでは届けにくくなった
ーーーまず、再春館製薬所様がお客様とのコミュニケーションにおいて大切にしていることについて教えてください。
石橋様:
再春館製薬所というと「ドモホルンリンクル」のイメージが強いと思いますが、もともとは漢方の製薬会社として始まっています。
漢方や生薬を使った製品を通じて、お客様の悩みを解決し、明日につなげていく。その考え方はドモホルンリンクルにも受け継がれています。
そして、私たちが強みにしているのが「製販一体」です。
熊本を拠点に、製造から発送、お客様対応までを自社で行っています。
中でも、お客様と直接コミュニケーションを取る「お客様プリーザー」の存在は、再春館製薬所ならではの強みだと思っています。
ーーーその強みがある中で、どのような課題を感じていたのでしょうか。
石橋様:
お客様プリーザーは、お客様の悩みに寄り添って、お客様になりきりながらご案内することを大切にしています。
一方的に商品について説明するのではなく、会話を重ねる中で信頼関係を築いて、納得・安心して続けていただく。
実際、10年、20年とドモホルンリンクルを使い続けてくださっているお客様もたくさんいらっしゃいます。
その信頼関係をつくるためには、やはり「会話」が非常に重要です。
電話であれば、短い会話を何度もキャッチボールすることで、お客様の悩みを深く理解できます。
ただ、スマートフォンが普及してオンライン中心の時代になると、お客様との会話の接点をつくることが難しくなりました。
チャットやメールでも同じクオリティを目指して対応していますが、電話のように短いキャッチボールを重ねながら、安心や納得まで導いていくのはなかなか難しい。
「電話で提供してきたようなコミュニケーションを、オンラインのお客様にも届けられないだろうか」
そう考えていたときにOmakase AIのデモを見て、「これなら自分たちが求めているものができるかもしれない」と思ったことが、導入のきっかけでした。
「なんか、うちっぽいね」。決め手は“聞き深める”AIだった
ーーーすでにチャットボットも活用されていた中で、Omakase AIにはどのような違いを感じましたか?
石橋様:
従来のチャットボットは、実質的にはFAQの検索エンジンに近いものでした。
「クレジットカードは使えますか?」と聞かれたら、「使えます。利用可能なブランドはこちらです」と答える。
質問されたことに対して回答を返すことが中心です。
一方でOmakase AIは、聞かれたことに答えるだけではありません。
まずお客様の言葉を受け止め、共感し、そこからさらに聞き深めていく。
ここが一番大きな違いだと思っています。
お客様からいただく言葉は、必ずしも最初から明確な質問になっているとは限りません。
むしろ、「相談」に近いことも多いんです。
例えば、
「今シワに悩んでいるんですけど、ドモホルンリンクルって効くんですか?」
と聞かれたとします。
そこでただ商品の説明をするのではなく、
「今シワで悩まれているんですね」
「その悩みはいつ頃からですか?」
と質問を返す。
「2年くらい前からです」と回答されたら、
「その頃、生活に何か変化はありましたか?」
とさらに聞いていく。
そうすることで、なぜ今そのお客様が肌に悩んでいるのか、背景まで理解した上でご案内することができます。
ただ「ドモホルンリンクルがおすすめです」と答えるのではなく、お客様自身にも納得していただきながら答えにたどり着く。
そこが従来のチャットボットとの大きな違いです。
ーーーそうした再春館製薬所様ならではの接客を、どのようにAIへ落とし込んだのでしょうか?
石橋様:
実は、ものすごく細かい接客マニュアルがあるわけではありません。
私たちは、正解をすべてマニュアル化するというより、事例を見ながら考えてもらうような教育を大切にしています。
ただ、
「再春館製薬所ならこう考える」
「まずはお客様になりきる」
「答えだけを返すのではなく、悩みの背景を考える」
という、お客様対応における軸はあります。
そういった資料やナレッジをZEALSさんに提供して、Omakase AIが振る舞いやすい形に調整していただきました。
出来上がったデモをプリーザーの責任者など、いろいろなメンバーに触ってもらったところ、
「なんか、うちっぽいね」
「プリーザーっぽいね」
という反応が返ってきました。
生成AIをお客様対応に使うことへの不安はもちろんありましたが、実際に再春館製薬所らしい受け答えができているところを見せられたことで、「これなら」と思ってもらえました。
社内で導入を進める上でも、このデモは非常に大きかったと思います。

AIに接客を任せるのではなく、「人にしかできない接客」を増やす
ーーー生成AIをお客様対応に導入する上では、誤った回答をしてしまうリスクへの懸念もあったと思います。
石橋様:
ハルシネーションについては、大きなリスクだと考えていました。
分からないにもかかわらずAIがそれらしい回答をしてしまうと、お客様からするとそれが正解になってしまいます。
その点、Omakase AIは、分からないことに対してきちんと「分かりません」と言える。
さらに、そこで会話を終わらせるのではなく、回答できない内容については適切な問い合わせ先へご案内することもできます。
無理に答えないことと、必要な場合は人につなぐこと。
その設計ができることを確認できたのは、導入を判断する上で重要でした。
ーーーAIを導入することで、「オペレーターの仕事がAIに置き換わるのでは」という懸念はありませんでしたか?
石橋様:
そこについては、AIと人を競わせるという考え方ではありませんでした。
再春館製薬所は、お客様との接点そのものを大事にしているので、「電話を減らしたい」という方針ではありません。
むしろ、どんどん電話していただきたいと思っています。
ただ、
「支払い方法は何が使えますか?」
「今日注文したらいつ届きますか?」
といった、必ずしも有人でなければ対応できないわけではない質問もあります。
そうした情報をお客様自身がWebサイトから探そうとすると、たくさんあるコンテンツの中から答えを探さなければなりません。
見つからなければ、それ自体がお客様の不満につながってしまいます。
そこはOmakase AIに何でも質問してもらう。
一方で、キャンセルや追加注文など、人が対応した方がよい場面では有人対応へつなぐ。
Omakase AIですべてを対応するのではなく、お客様の状況に応じてAIと人を使い分ける。
そうすることで、お客様プリーザーは、その高い能力を本当に人が向き合うべきお客様に集中して使うことができます。
社内でも、
「プリーザーの能力が生きるお客様対応に集中しよう。簡単な応対はAIにやってもらおう」
という考え方で受け入れられていきました。

Omakase AI利用セッションのCVRは約2倍。接客が事業成果につながった
ーーー実際に導入して、どのような成果が得られましたか?
石橋様:
まず回答品質については、以前導入していたボット型のAIでは、データ上の正答率が3〜4割程度でした。
一方でOmakase AIは、同じ指標で定量的な正答率を取っているわけではありませんが、実際の内容を見る限り、ほとんどの質問に回答できています。
仮に回答できなくても、「ここに聞けば分かりますよ」と次のアクションをご案内できる。
お客様へのサービス品質としては、十分に合格点だと感じています。
ーーー事業成果についてはいかがでしょうか?
石橋様:
導入する以上、初期費用や月額費用はきちんと回収できるようにしようと、最初からZEALSさんと話していました。
事前に、
「これくらいのコンバージョンが取れれば、費用を回収できる」
という目標ラインを設定した上でトライアルを始めています。
私たちの場合、コンバージョンには「無料お試しセットの請求」と「商品の注文」の2種類があります。
トライアル期間中に、Omakase AIを利用したセッションと利用していないセッションを比較すると、
Omakase AIを利用したセッションでは、コンバージョン率が約2倍になっていました。
約200%近い差が出ていたということです。
その時点でも、Omakase AIによって生まれたコンバージョンの差分で費用を回収できそうだという感触がありました。
しかも、まだトライアルの段階です。
これからもっと多くのお客様にサービスを知っていただき、利用が広がれば、さらに成果を伸ばせるのではないか。
当初トライアル期間は3ヶ月を予定していましたが、3ヶ月を待たずに本導入を判断しました。
ーーーただ、Omakase AIを使うお客様は、もともと購入意欲が高かったのではないかという見方もできます。
石橋様:
そこは私自身も疑っていました。
積極性の高いお客様がOmakase AIを使っているだけで、Omakase AIがなくてもコンバージョンしていたのではないかと。
ただ、実際にコンバージョンしたお客様の会話ログを確認してみると、AIがお客様の悩みをきちんと聞き深めて、納得していただいた上で、
「ではこちらからお申し込みください」
とご案内してコンバージョンにつながっていることが確認できました。
ちゃんと接客できている結果として、コンバージョンが生まれている。
そこまで会話ログから確認できたことは、大きな発見でした。
ーーー会話ログ自体も、今後のマーケティングに活用できそうですね。
石橋様:
そうですね。
AIとお客様の会話を見ることで、
「今、お客様はこんなことに注目しているんだ」
ということが分かります。
例えば新しいサービスをローンチした際に、そのサービスについての質問が増えていれば、
「もっときちんと回答できるようにナレッジを更新しよう」
と判断できます。
どういう悩み相談が多いのか、どのようなお客様が相談されているのかといった情報も見える。
コンバージョンを押し上げるだけではなく、お客様の声からインサイトを得て、マーケティングやサービス改善にも活用できる。
そこもOmakase AIを導入したことで生まれた価値だと思っています。
CRMとつながれば、AIはもっと「プリーザー」に近づく
ーーー本導入後、今後はOmakase AIをどのように発展させていきたいですか?
石橋様:
まずは、Omakase AIそのものを一つのサービスとしてお客様に認知していただきたいと思っています。
メールやLINEを通じて既存のお客様へご案内したり、新しくドモホルンリンクルを始めていただくお客様にもサービスの一つとしてご案内していく。
始めたばかりの頃は、使い方や自分の肌に合っているかなど、迷うことも多いと思います。
そうした時に、
「24時間、何でも聞いてください」
とご案内できる。
自分の悩みや生活スタイル、予算感などに合わせて提案を受けられることで、満足度が高まり、より続けやすくなるのではないかと思っています。
そして、さらにやりたいのがCRMとの連携です。
ーーーCRMと連携すると、どのような接客が実現できるのでしょうか?
石橋様:
再春館製薬所では、CRMを非常に大切にしています。
お客様が誰なのか。
今何の商品を使っているのか。
前回購入してから何日経っているのか。
どんな悩みを持っているのか。
そうした情報をAIが理解した状態で会話できるようになれば、私たちが本来目指している**「プリーザーらしい振る舞い」**に、もっと近づけると思っています。
前回相談いただいたことを覚えていて、次に話した時にはその続きから会話できる。
さらに、営業時間やお客様の都合に関係なく、いつでも聞くことができる。
人には少し言いづらいことでも、「AIなら話してみよう」と思っていただけることもあるかもしれません。
お客様のIDを特定して、一人ひとりを理解した上で会話できるようになれば、Omakase AIは大きく進化する。
そこには非常に期待しています。
ーーーOmakase AIの導入を通して、ZEALSとの取り組みについてはどのように感じていますか?
石橋様:
カスタマーサクセスの担当者の方が、非常に前のめりに入ってくださったことが印象的でした。
最初に、
「私は御社の成果にコミットしているので、全力でやります」
と言ってくださって。
こういったSaaSやツールの提供会社の担当者から、そこまで言っていただくことはこれまであまりなかったので、非常に印象に残っています。
実際に、定量・定性のデータも積極的に出してくださいますし、
「新しい接客方法ができるようになったので試しませんか?」
と次々に提案していただける。
決めてから実際に形にするまでのスピードも速く、本気で向き合ってくれていると感じています。
特に信頼できるのは、それがトライアル期間だけではないことです。
本導入後も新しいKPIを一緒に設計し、
「次はここを目指して頑張りましょう」
と改めてコミットしてくださった。
導入することではなく、その先の成果を一緒に目指してくれているところは、非常に信頼しています。
ーーー最後に、Omakase AIの導入を検討している企業へメッセージをお願いします。
石橋様:
まずは一度、相談してみるといいと思います。
私たちの場合も、
「再春館製薬所向けに簡単なデモを作りました」
と、かなりスピーディに自社向けのデモを用意していただきました。
実際に触ってみると、
「なるほど、こういうことができるのか」
というイメージが一気に具体的になります。
もちろん、自社で導入しようとするといろいろな障壁があると思います。
「こういう成果は期待できそうだけれど、このリスクがあるから難しい」
ということもあると思います。
そうした障壁も含めてすべて伝えて、どうすれば乗り越えられるかを一緒に相談してみる。
まずはそこから始めてみるといいと思います。
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