接客DXは間違いなく新しい「広告のルール」を生み出すと思う。「元アドマン」が改めていま、広告業界に戻ってきた理由とは?
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Daisuke Watanabe | 渡邊 大介
2006年に株式会社サイバーエージェントに入社。アカウントプランナーとして大手ナショナルクライアントのブランディング、マーケティング戦略立案に従事。その後、複数の新規事業の起ち上げ、人事責任者などを歴任した後に、リクルート社とのHR Tech系ジョイント・ベンチャー・ヒューマンキャピタルテクノロジー社を設立、取締役に就任。2020年11月よりジールスに参画。
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インターネット業界歴15年での経験値
簡単な経歴を教えて下さい。
インターネット業界15年目となります。
約3年ごとにキャリアを変えており、最近(2020年9月)までは、HR Techという領域でビジネスをしていました。
リクルートとサイバーエージェントのジョイントベンチャーという形で会社を立ち上げ、「Geppo(ゲッポウ)」という組織や個人のコンディションを可視化するパルスサーベイというツールを開発・販売していました。
いわゆる今注目のB2B SaaSですね。
この会社を起ち上げるまではサイバーエージェント全体の人事、特に採用や育成の責任者をしていました。
特に「採用マーケティング」に注力していましたね。
今では「採用広報」「採用マーケティング」みたいな言葉は一定の市民権を得ていると思うのですが、その走りだったと思います。
ちなみにこの辺りは自分なりに体系化できているので、興味があったら読んでみてください。
■採用マーケティングが優秀な人材との出会いを加速させる
■サイバーエージェントは優秀な人材をどうやって採っている?責任者 渡邊大介氏に聞く
(余談ですが、この時に当時大学生だったCOOの遠藤と出会ったので、人生何があるかわかりません(笑)あの時お互いに興味を惹かれ合っていなかったら、こうしてジールスにジョインすることもなかったかもしれないので、一生懸命採用活動に取り組んでいて良かったです。dotは一生懸命打ち込んでいると、いつかConnectingするものだと実感しています。)
話に戻りますが、さらにその前は新規事業を複数起ち上げていました。
特にビジネスパーソン向けのBtoCサービスをいくつか担当しており、そのうちの一つはニュースに対して有識者がコメントできるという、今で言うNewspicksのようなサービスです。Newspicksを見るたびに悔しくなりますね(苦笑)これも踏み絵だと思うし、正直に話すのが大事だと思うので、当時のインタビューなど(担当プロデューサーに聞くintely開発の真の狙い)もぜひご覧ください。にしても、これは本当にフルスイングで失敗しました(笑)
■渡邊が携わったサービスたち
後はソーシャルメディアを扱うマーケティング部隊を起ち上げたり、その時にちょっと海外との交渉をやらせてもらったり、そもそもキャリアの最初は広告営業だったりも経験してきましたね。
本当に様々なキャリアを歩んでいますね!しかも広告営業からキャリアをスタートとは…!
そもそも僕は広告がやりたくてサイバーに入社してます。
大学時代も「電通論文賞」に論文書いて提出するなど、本当に広告が好きな学生でした。
入社してからも、広告営業としてサイバーエージェントの全社MVPも二期連続で受賞するなどと実績も残し、しっかり「広告業界」で仕事していたはずです(笑)
今は全く知られていないと思いますが、新卒の頃から「アドマン2.0」というブログを書いていて結構有名だったんですよ(笑)
月間10万PVはありました。
月間10万PV以上はすごい!
今で言う、インスタやTiktokで一発当てる若手マーケターに近いと思うのですが、それのブログ版だったと思います。
とにかく運が良くて、出会い頭でバチッと当てられた感じですかね。
今振り返るとしょうもない発信ばかりしていますが、当時はそんな発信すらしている人がいなかった。特に若手では皆無に近かったので、運良く注目を得ることができたんだと思います。
そうした事もあって、本当に若い頃から大きくお金の動く、世の中的にもインパクトの大きい仕事に関わることができました。
めちゃくちゃ大変だったけど、めちゃくちゃ楽しかったのがこの時代ですね。毎日青春しながら、死ぬほど成長したと思います。
広告マンは、絶対に一度「事業をやりたくなる病」にかかる
入社して4年目、5年目くらいのことだったと思います。
刺激的な広告案件と毎日向き合えてめちゃくちゃ楽しかったのですが、一方でめちゃくちゃに「モヤモヤ」を感じ始めたタイミングでもありました。
きっと広告と真剣に取り組んできた人は誰しもが感じる話だと思いますが、広告業界特有の「隣の芝」議論です。
つまり、事業がやりたくなったんですよね。
広告会社は基本、与件化した案件をその与件=ルールの中で勝負するお仕事。判断・決断はいつもクライアントがするものであり、僕らは判断される材料を創りに行く。
結果、僕らがどんなに良いアイデアと思っていても、決断されないことがあるんです。
ルールを守りながらクリエイティブするために頭をひねりつくすので、キラーパスのようなファンタジスタなプレイが生まれる。でも自分のピカイチの提案が通らなかった時や、クライアントマターで思った仕上がりにならなかった時などに、オフサイドなど、ルールを創る側に回りたくなるんです。
たぶん多くの広告人は共感してくれるんじゃないですかね。
さらにこの時期、グローバルの広告事例を見てみると、広告か事業かわからない事例がたくさんできてきたフェーズでもありました。
とある自動車ブランドが広告プロモーションの一貫として本格的なゲームを作り始めたり、ユーザーとコミュニケーションを継続的にとるためにSNSをはじめたり……。
広告主側からご相談頂く内容も、どんどん「これは事業の相談では?」というような依頼が多くなり、僕の中で「広告とは?」をすごく考えるタイミングがありました。
そこから広告会社のプレイヤー、ではなく、広告会社に仕事を頼む事業側、のキャリアを考えるようになったんですよね。
DXが広告、マーケティングをさらに進化させる。
自己紹介にあったように、事業作りや、会社というプロダクトを広報する採用、JVのCMOに就任と、事業側からマーケティング、広告に関わって来たと思いますが、まさに狙い通りなのでしょうか?
まさに狙い通りではありましたね。実際楽しかったし、とても勉強になりました。
幸い、今最も注目されているB2B、SaaS事業の作り方も学べたし、HR系データ事業でもあったので、いろいろな組織のあり方もインストールできた。
そういう意味でとても意義深かったので、「このままこのキャリアで良いかな」とも思ってたんです。
けれど…やっぱり広告業界の仕事って面白そうなんですよね(笑)
生活者との接点における仕事であり、売上を創りに行く仕事。そこには常に解決すべき課題がたくさん転がっていて、その課題をアイデアと仕組みで解決していく。そんな有機的な広告業界はやっぱり魅力的でしたし、何よりものすごい地殻変動を感じていました。
あえて誤解を恐れず言うと、デジタルマーケティングの歴史って「大きな発明」と「危機」を繰り返して、尺取虫みたいなイメージで進化していると思っています。
インターネットの発明、アドサーバーの発明、ターゲティングやデータエクスチェンジ技術の登場、スマートフォンというテレビに変わるようなメディアデバイス……こういう大きな発明がある。
そうした時間軸と並行して、大地震があったり、リーマンショックがあったり、今回のコロナ禍があったり、様々な社会的な危機によってメディア環境が変化を余儀なくされる力学が働き、その度に広告も形を変えざるを得なくなる。
こうした「技術と危機による環境変化」に対して柔軟に進化を遂げてきたのが(デジタル)マーケティングだと思ってます。
そしてその柔軟性とスピード対応できるのが広告業界の面白さでもあるし、そうしたことに対応できるタレントが揃っているのもこの業界の面白さだと思っています。
その大きな地殻変動がコロナ禍によって加速度的に普及しつつあるDX、であると?
そのとおり、100点です!(笑)
今回の地殻変動DXは、今までの歴史の中でも大きな波、それこそスマートフォンの登場に匹敵するか、それ以上なんじゃないかと思っています。
スマートフォンの登場以降、次なるメディアはなにか?次なる発明はなにか?をみんな探していたし、みんな発明しようとしていたと思うんです。
それこそ時計やメガネというフォーマットをもったウェアラブルデバイスやVR/AR、様々な可能性を模索した十数年だったと。
しかしながら、スマートフォンという「自分の半径30cm以内に24時間存在し続けるメディア」を超えるものはなかなかなかった。
個人的には、これを超えるためにはチップを埋め込むとか、そういうレイヤーで考えなければいけないのではないかと思うほどでした。
予想外だったのはコロナ禍によるDX化の促進です。
もっともっと緩やかにDXの波は訪れるかなと思っていたのものが、今目の前で想定の数倍のスピードで現実のものとして構築されている。「徐々に」というスピード感が、「急速に」なるだけでここまでの革命的なインパクトをもたらすのか、と驚いていますが、ここまであらゆる業界が一つのテーマ(=DX)というものに瞬間風速的に注目するということはなかなかなかったことだと思いますし、もともと来る当然の流れだったものが早まっただけなので、FADS(一時的な流行)では終わることもないと思います。
DXスタートアップはキャリアの総合格闘技であり異種格闘技戦
何がDXで何がDXでないのか。
あるいはDXのメインプレーヤーはコンサルタントなのか、ITソリューションベンダーなのか、あるいはマーケターなのか、は正直わかりません。
カオスな部分も多い。
だからこそ可能性が広がりますよね。
インターネットの登場によって起こったカオス、スマホの登場によって生まれたカオス、その混沌に飛び込みいち早く実態を作り、ルールメイクした企業が広告、マーケティング業界を構造的に変えてきたと思っています。
広告・マーケティングが変革する、10年あるいは20年に一度のチャンスに、ぜひチャレンジしてみませんか。
僕はいてもたってもいられず、ジールスにジョインしました。
ありがとうございました!
コロナ禍により加速度的に普及するDX。
スマートフォンの登場にも匹敵すると考えられています。
ジールス では、皆様からのチャレンジを心よりお待ちしています。