【社内インタビュー】“提案し続けるAIエージェント”でCVRが大幅改善

“提案し続けるAI”でCVRが大幅改善──接客AIエージェントが切り開くマーケティングの未来
-AIエージェント構築の現場最前線、その試行錯誤と進化-
ビジネス分野でもますます勢いを増すAIエージェント。
マーケティング領域でもAIエージェントの導入が進んでおり、その中でもZEALSは”接客AIエージェント”として、ユーザーに向けた最適なサービスやアイテムを提案するプロダクトを開発し提供しています。
そんな接客AIエージェントの最前線を走るメンバーに話を聞く本企画ですが、前回は堀川さんにお話を聞きました。
第二回は、堀川さんと同じチームに所属する石井さんにお話を聞いてみました。
ZEALS AI Agentを用いて大幅なCVR改善を成し遂げている石井さんが語る、AIエージェント活用の極意とは。
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自己紹介
石井友理(いしい ゆうり)-Suzy-
福岡県出身。2024年度の新卒としてZEALSに入社。
「ワクワクを届ける!」という思いのもと、AIエージェントの力で日本の「おもてなし」を実現するために奮闘中。
ニックネームの由来は、自身の好きな韓国の女優から。
(インタビュアー:マーケティング部 山根)
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ーーー「接客AIエージェント」を支えるキーマンに話を聞くシリーズ。今回は第二弾ということで、大活躍中の石井さんにお話を聞かせてもらおうと思います!よろしくお願いします。まずは簡単に自己紹介をお願いします。
石井:
2024年に新卒入社した石井友理です!
2023年7月からZEALSで内定者インターンシップとしてジョインしており、最初はコミュニケーションデザイナー(CD)として、チャットコマースにおける接客会話体験の設計・実装を担当し、主に教育業界のお客様と向き合っていました。
2年目の現在は、「AIストラテジックコンサルティング局」にて接客AIエージェントの設計に携わっています。
チャットコマース運用で培った会話設計力が、接客AIエージェント構築における強みに。
ーーーありがとうございます。まず、そもそもZEALS AI Agentとはどのようなものなのでしょうか?
石井:
LINE公式アカウント上でAIエージェントがユーザーとコミュニケーションを取り、ユーザーの悩みやニーズを丁寧にヒアリングし、その人に合った商品やサービスを提案する「接客AIエージェント」です。
ZEALS AI Agentの特徴として、ユーザーの自由な発言や質問に対し、AIが自律的に判断して適切な回答を行うことができるという点があります。
これにより、ユーザーは「膨大な商品やサービスの中から自分の悩みにピンポイントにマッチするものを提案してもらえた!」という、まるで実際の店舗での接客体験をオンライン上で味わうことができます。
ーーー従来のチャットコマースとは何が違うんですか?
石井:
従来のチャットコマースは”シナリオ型接客”と呼ばれるもので、決められた会話パターンの中でユーザーとやりとりをするものです。
私がコミュニケーションデザイナーをしていたときは、チャットコマース上で「診断型コンテンツ」を実装するケースが多かったです。
診断するにあたって必要な設問とそれに対する回答を4~5組ほどあらかじめ用意し、それぞれの回答に応じた診断結果の分岐図を考えていました。
そしてそれをLINE公式アカウントに実装することで、ある種決められたやりとりをユーザーと行うことができるようになります。
「コミュニケーションデザイナー」という名が示すとおり、ユーザーとのやりとりを人の力で前もってデザインするようなイメージですね。
ユーザー視点では「LINE上でやり取りした上で最適な診断をしてくれている」という風に見えるのですが、逆に言うと、選択肢の中には含まれないユーザーの悩みや、ユーザーからの発話によって寄せられる質問などを拾い上げることができないんです。
一方、ZEALS AI Agentは、AIエージェントがそれまでのやりとりの文脈などを理解して自律的にコミュニケーションをとることができます。
この点では、ZEALS AI Agentは今までのチャットコマースの進化系と言えるかもしれません。
ーーーなるほど、理解できました!その中で、現在石井さんはどのようなことをしているのでしょうか?
石井:
どんなコンセプトで接客AIエージェントを作るか、といった企画を設計し、実際にAIエージェントに落とし込むことがメインの仕事となります。
企業にご提案する際に、その企業向けのデモ用の接客AIエージェントをまず作成します。
それを叩き台に、お客様と会話を重ねながら、商材やサービスを深く理解していきます。
課題に合ったエージェントを個別に設計し、実際の運用につなげていく、という流れですね。
もちろんZEALS AI Agentのプロダクトも素晴らしいんですが、この設計にあたってはコミュニケーションデザイナー時代に培った経験がとても活きていますね!
お客様のサービスについてしっかり理解し、その上で実際にそのサービスを利用するターゲットユーザーのことも徹底的に考える、いわゆるマーケティング的な思考はどちらにも共通して必要になってくる要素です。
AIエージェントは自由度が高いゆえに混乱してしまいがちなのですが、ベースとなる思考の力が身についているからこそ、うまく成果を上げるための設計ができている気がします。
CVRが10%改善!その肝は「AIによる継続的な提案」
ーーーありがとうございます。実際に接客AIエージェントによって成果を上げたケースはありますか?
石井:
教育系のお客様を担当していたときの話なのですが、AIエージェント導入によってCVRを大きく改善できた事例があります。
教育系サービスの特徴として言えることが、サービスの利用ハードルが高く、比較検討期間が長いということです。
自身のお金も時間も投資して塾やスクールに通うことになるからこそ、ユーザーは慎重に「自分に合うものはどれか?」を考え、情報収集をおこないます。
そういったサービス特性と接客AIエージェントは非常に相性がよく、ユーザーに寄り添った接客体験をAIエージェント上で設計することによって、CV数がZEALS AI Agent導入前と比較して110%に増加させることに成功しました。
まだまだ改善の余地があるなかで、導入間もないAIエージェントが全体のCV数の10%を支えている、という風に考えると非常に凄いことだと思っています。
ーーー具体的に工夫したポイントは?
石井:
AIエージェントの「オファー率」というものを中間指標におき、そこの改善に注力することでした。
オファー率というのは、実際にAIエージェントが会話の中で具体的なサービスや商品を提案(オファー)した割合のことを指します。
単なる会話のラリーだけで終わるのではなく、「そんなあなたには〇〇の商品はいかがでしょうか?」というような形でいかに提案に繋げられるか、ということですね。
いくら接客AIエージェントが人に寄り添った会話ができると言っても、実際のユーザー商品やサービスを利用したいという思いを抱えて会話をしているわけですし、そもそも商品を提案しなければコンバージョンも発生しません。
なので私は、AIエージェント側からの発言全てに何かしらのオファーを行うようにし、オファー率が100%になることを目指しました。
たとえば、ユーザーが「こんにちは」とだけ発言したとしても、まずは最もメジャーな商品やそのユーザーの属性にあったベーシックな商品をオファーするようにしています。
ーーー面白いですね!でも、ユーザー側からすると”売り込み感”が強くないですか?
石井:
一見すると押し付けがましいコミュニケーションに捉えられるのですが、ユーザーからすると、まだ欲しいモノがはっきりしていない段階で「何か知りたいことはありますか?」と言われても逆に回答が難しかったりするんです。
まず先に商品をオファーしておいて、それを軸に「もっと〇〇なものが好みかも」というコミュニケーションが発生する方がユーザーにとっては理想的な体験だと言えます。
これは私が日々コミュニケーションデザインに向き合ってきたからこその発見だと思っています!
AIエージェントを設計する思考過程において、
・ユーザーはこういった質問や悩みを発言するだろう→それに合わせた回答をインプットさせよう
という発想だと、ただのお悩み相談になってしまいます。
なので、
・こういう商品やメニューをオファーしよう→そのためにはこういう質問をユーザーから引き出そう
という発想にすることで、一番大事な目的である「コンバージョン数を増やす」ということにつながっていくのだと考えています。
ZEALSは、“AIエージェント×マーケティング”におけるベストプラクティスを持っている
ーーーおお、あまり自分自身もAIエージェントがCVRを直接的に上げた事例は聞いたことがない気がします。
石井:
そうですね。
私たちも最初はノーヒントの中での試行錯誤の繰り返しでした。
広告でABテストをおこなうように、AIエージェントの設計を少しずつ細かく検証していくことによって最善のものを日々探していっています。
社内のSlackには「接客AIエージェントの成果を良くするために議論するチャンネル」が存在しており、堀川を含めたメンバーと日々ディスカッションを交わしています。
まだまだ世の中に、AIエージェント×マーケティングという領域において正解がない中で、ZEALSは一歩も二歩も先に進んでいると確信しています。
「AIエージェントを使ってCVRを改善したい」というケースはもちろん、「AIエージェントを用いてサービスの理解度を深めたい」「ユーザーのエンゲージメントを高めたい」という思いを持っているのであれば、ぜひ気軽にご相談いただければと思っています。
具体的なアイデアがなくても、議論を重ねながら一緒に良いアウトプットを作り上げていくことができると思っています。
ZEALS AI Agent、そしてOmakase.aiが世の中の当たり前になるように
ーーー最後に、AIエージェントに日々向き合い続けている石井さんにとって、最近面白いと感じるAI関連のプロダクトはありますか?
石井:
手前味噌なんですが、Omakase.ai(※現在アメリカを中心にグローバルに展開している接客AIエージェント)がダントツで凄いと思っています。
日々私たちはお客様のブランドの情報やサービスを徹底的に調べ、それぞれの特徴を理解した上でプロンプトを組み、実際のAIエージェントを作っているんですが、Omakase.aiの場合だとURL一つを入力するだけでそれができてしまうんです。
そして、そのAIエージェントの完成度もとても高い。
日々AIエージェントを設計に向き合っているのでとてもよく分かるんですが、AIエージェントを一つ作るのにも多くの時間と人の力が必要になっているのが現状です。
それをもうURLのみでAIエージェントを設計できるとなると、私たちのプロダクトをより多くのお客様に届けることができるな、と強く思いました。
その上、今では文字入力だけではなく、音声で接客体験を行うこともできるようになっていて、その点も近未来的だと感じています。
「ZEALS AI Agent」と「Omakase.ai」という2つのAIプロダクトに携われていていることはとてもラッキーだと思っているので、次はこれらを世の中の当たり前にしたいと思っています!
ーーーメラメラですね、ありがとうございました!