継続意向は95%!岡山トヨペットはLINEチャットボットで「やさしいデジタル」を推進し、さらなる顧客満足度向上を目指す。
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「とにかく、お客様も弊社で働く従業員も、ラクになりましたよね」
そう語るのは、「LINEラクラク入庫予約」を自動車販売社で初めて導入した岡山トヨペットを経営する代表取締役社長の末長さんです。
同社は、岡山を拠点に自動車販売業等を展開する企業で、2021年2月にジールスと共同でLINEチャットボットを活用した「LINEラクラク入庫予約」の提供を開始しました。
同業他社と比較しても「お客様との接点」「顧客満足」に力を入れている同社が、なぜ今回接客のDX(デジタルトランスフォーメーション)に踏み切ったのか。そして導入してから実際にどのような成果が出ているのか。今回は、末長さんと、本プロジェクトの中心的役割を担った伊崎さんにお話を伺いました。
(写真は、左から岡山トヨペット伊崎さん、末長さん、ジールス清水、大江)
実際のインタビュー動画
電話による「お客様とのすれ違い」という永遠の課題
Q. このようなお時間を頂きありがとうございます。まずは導入背景から質問させてください。御社はお客様との接点、接客の時間をとても大事にされていると思いますが、「LINEラクラク入庫予約」導入前にはどんな課題意識がありましたか?
伊崎さん:お客様と営業スタッフ間の電話のすれ違い、がとても多いことに課題意識がありました。車検には事前に入庫予約の手続きをして頂く必要があるのですが、その方法が限定的だったんですね。主な方法がお電話やメールになっていたため、どんなに頑張ってもお客様のご都合に対応できないことがありました。
例えば、営業時間外での予約はどうしても翌日の対応になってしまったり、営業スタッフが折り返したタイミングは逆にお客様のご都合が悪かったり・・・といったことですね。こうした両者のストレスは解消したいと考えていましたし、営業スタッフの時間活用の面からももっと本質的なお客様への価値提供に時間を振り分けてもらいたいな、と昔から考えていました。
Q. 電話やメール以外にもLINEのようなコミュニケーション手段もあったと思いますが、どのように活用されていたのでしょうか?
伊崎さん:会社の公式LINEアカウントは活用しており、店舗イベントの誘致活動などを目的に運用していました。電話と比較して、お客様の都合を害することなくコミュニケーションが取れること、他ツールと比較して開封率が高いこと、かんたんに友だち登録頂けることなどはメリットに感じておりましたが、「LINEラクラク入庫予約」以前はどうしても一方通行的な使い方に終始してしまっていました。
末長さん:LINEは、日本人の生活の一部に溶け込んでいるサービスだと思うんですよ。しかしながら、どこの販売店もLINEを活用してお客様との接点を増やしたいという気持ちは持っているが、実態は導入してみたものの、うまく使えていないのが現状ではないでしょうか。
LINEはもともと、CtoCのコミュニケーションツールであり、それをBtoCのディーラーが活用しようとするとどうしても一方通行になってしまう。ファーストフードなど他業種・他サービスと異なり、自動車ディーラーはただでさえ接点が少ないので、うまく活用できているところは少ないと思いますね。
伊崎さん:そういう観点からも、お客様が能動的に活用してくれる「LINEラクラク入庫予約」は有効だと思います。これも導入理由の一つですね。
WIN-WIN-WINの関係を実現する「LINEラクラク入庫予約」
Qそのような課題と向き合っていたとはいえ、新しい取り組みには決断が必要だったと思います。実際、御社でも最も重要視されていたお客様との接点の一部にLINEチャットボットを活用することにリスクは感じなかったのでしょうか。
末長さん:リスク、だとは思いませんでしたね。先程お話した通り、我々はもともとLINEをもっと活用していきたいと考えていたし、従来型の入庫予約のあり方にも課題をもっていた。「LINEラクラク入庫予約」はシンプルにこのような悩みや課題を解決してくれるサービスだと思いましたね。
そして何よりも、お客様のためになるサービスだと思った。さらに営業スタッフにとっても、はたまた会社にとっても、WIN-WIN-WINの関係になれるサービスと思えたので、リスクとは考えず、むしろメリットが大きいなと考えていました。
Q. 先行事例もなかったと思いますが、このあたりはどのようにお考えになられましたか?
末長さん:確かにこのサービスは、(我々が検討した時点では)先行事例はなかった。しかし導入事例を待っていては、新しい取り組みはできないですよね。
如何に今の時代の流れをつかんで、時流に乗ることができるか。これがポイントです。企業は大きくなると、壁ができたり、スピードが遅くなったりしてしまいます。だからこそ、意識してスピード感を出していかないと、いざ完成した際には、時代にそぐわない出遅れているサービスになってしまうことが多いんです。
ジールスには、スピーディに提案いただいたおかげで、我々も素早い意思決定ができました。そして、その決定にもすぐに応えて頂きました。スタートアップらしいスピード感と、スタートアップらしからぬ現場主義を両立してくれた。現場に入り、悩みを聞き、解決するための努力をしてくれたことは、本当にありがたいと思っていますね。
清水:そんな言葉を頂けて、本当に嬉しいです。チームメンバー全員にこの声を聞かせてあげたいです。
「お客様が喜んでくれた」という成功体験があれば、新しいシステムでも社内にきちんと浸透する
Q導入決定後のことについてもお聞かせください。一般的にこうした新しいサービスの導入に拒絶感や抵抗感がある人もいると聞きますが、御社の場合は如何だったでしょうか?
伊崎さん:正直大きなハードルはなかったですね。「LINEラクラク入庫予約」に関しては、お客様に対するメリットはもちろんのこと、現場の営業スタッフ、入庫予約のスタッフにもメリットがあるもの。かつ、初期工数もほとんど掛からなかったので、想像よりスムーズだった、というのが感想です。
末長さん:営業スタッフが「この新しいサービスいいな!」と思ったら勝ち、なんですよね。正直導入決定直後は、現場サイドからすると「また会社が新しいサービス導入している」という感覚になったのではないか?と思いますよ。
しかしながら、ジールスのサービスは非常に簡単。しかもお客様も喜んでくれる。特に彼らがありがたく感じているのは、お客様とのすれ違いが解消されたことだと思います。こうした一種の成功体験のようなものを味わうと、どんどん使おう!という流れに自然となっていくんですよ。意外とこういったサービスやシステムがなかったんですよね。
清水:初めて、ご提案させて頂いた時のことを覚えています。お二方が気にされていたポイントが「営業スタッフの工数は大丈夫か」「現場の負担にならないか」という点でした。良いサービスであっても、導入・運用工数が掛かると話が変わる。その懸念点を教えて頂いたので、我々も「いかに現場スタッフの方に負担にならないサービスをつくることができるか?」に集中してサービスを設計しました。
末長さん:世の中に、いいサービスはたくさんあると思うんですが、工数が一定以上掛かると現場は拒否反応を示すことがあるんですよね。通常業務にプラスされるわけですから。しかしジールスのサービスは、結果的にスタッフの工数が解消されるサービス。この点は非常に大きなポイントですね。
ちなみに「LINEラクラク入庫予約」は他の販売店でも導入が進んでいるんですか?
清水:おかげさまで、サービススタート間もないですが、トヨタ系自動車販売社様だけでも二桁を超えるお客様に導入頂いています。
各社様の導入理由もかなり似通っており、既存のお客様へのフォローシステムとして、あるいはLINEをもっと活用したいというニーズに即したサービスとしてご判断頂くことが多いですね。最近では「マイトヨタ整備手帳」との併用も増えてきています。
店舗が休業中のGW中に100件の入庫予約が発生。営業時間外のお客様対応の円滑化に成功。
Q. 導入実績についても教えて下さい。まだ導入後数ヶ月ですが、目に見える結果や数値の変化などはあるのでしょうか?
伊崎さん:まずLINEの友だち登録数が増えましたね。店舗イベントの誘致を目的にLINEを始めた最初は増えていたんですが、最近は停滞気味でした。それがLINEラクラク入庫予約を始めてからは、毎月1,000人ずつコンスタントに伸びていますね。
CSスタッフのレポートを見てみても、「こんなサービスあるんだ。教えてくれてありがとう」「便利だね」と言った声をお客様からかけて頂いているようで、本サービスの利用をご案内するモチベーションになっているんだと思います。
大江:お客様にとって便利、という点が非常に重要だと考えています。LINEのアカウントがあっても、企業からの一方通行的なメッセージ送信では、お客様がお友達になるメリットを感じられないケースが多かったと思います。しかし「LINEラクラク入庫予約」を開始して、「入庫予約ができる、これは便利!」と知って友だち登録してくださるお客様が増えたと現場の社員様からも伺っています。
Q店舗休業中にも大きな成果があったと伺いました。
伊崎さん:そうですね、例年同様、今年のゴールデンウィークも長期休暇をいただいたのですが、今年は「LINEラクラク入庫予約」導入後だったこともあり、長期休暇中に100件以上の予約を頂くことができました。
実際、「LINEラクラク入庫予約」導入後の数字を見ると、入庫予約の半数が営業時間外なんですよね。サービス導入前は、入庫予約の連絡については「営業時間内の電話」が基本だったため、ここに対応しきれていなかった。
時間外の問い合わせに対して、翌日の就業時間内に返信したとしても、LINEになってからはきちんと返事があるのも発見です。このあたりには大きく効果を感じています。
お客様アンケートの結果でも「LINEで入庫予約したお客様は次回もLINEで入庫予約したい」という声が95%に達しており、お客様が車を買い替えない限り、LINE入庫予約数は増加し続けると思います。
末長さん:他にも、とにかく「ラクになった」というコメントが現場のスタッフから聞こえてきます。今までの接客業務と比較して、工数やすれ違いがなくなったのはやはり大きい。お客様もスタッフのみんなもそこに対するストレスは抱えていたと思うんです。
しかも成績の良い営業スタッフほど忙しくなってしまうのですが、そこをLINEである程度巻き取ることができる。実際、現場からいいサービスだ!という声が上がってますよ。本当に良いサービスじゃなかったらこうした声は上がらないと思います。
Qスタートアップがどこまでサポートしてくれるのか不安もあったと思います。ジールスのサポート体制についての感想がありましたら教えて下さい。
伊崎さん:正直、ここまでしっかりサポートしてくれるとは思っていませんでした。初めての導入販売店ということもあり、一緒にPDCAを回しながらサポートして頂いた感覚がありますね。今までも、新しいサービスは色々と導入してきたが、ここまでしっかりサポートしてもらうことはなかなかありません。本部だけでなく、現場の意見を吸い上げたいと現場にまで入ってもらうのは滅多にないし、心強かったですね。
末長さん:清水さんとは実はこれが初めてではなく、2019年のオカヤマアワードがきっかけだったんですが、私自身も最初は「どこまでやってくれるんだろうか?」という疑問はありました。
しかし、そんな我々の心配はすぐに解消しましたね。ジールスはトヨタ自動車も大切にしている「現地現物」を率先してやってくれた。ここの会社(ジールス)は、他の会社と違うな、というのは僕も感じたし、おそらくこのプロジェクトに関わったメンバー、スタッフも同じ思いだと思いますよ。
きれいな提案資料を作って営業をしてくる会社は多いけど、現場に入って一緒につくり上げる企業はなかなかない。こうした姿勢には信頼が持てます。
デジタル化は目的ではない。お客様に寄り添った「やさしいデジタル」の実現を目指す
Q最後に、両社の今後の展望をお聞かせください。
末長さん:当社では「やさしいデジタル」という言葉を使っていますが、「LINEラクラク入庫予約」は、お客様と本当の意味で寄り添うことができるデジタル・サービスが必要だと思っています。
結局は、お客様が喜ぶか、求めるか否かが全て。デジタル化という手段が目的化すると、本質的な意味でのDXなんてできないと思っています。紙がなくなる、なくならないという話ではない。本当の意味で良いサービス、「お客様が使いたい」と思えるサービスを導入することが大切だと思うんですよ。
伊崎さん:僕らはデジタル化をしたいわけではないんですよね。デジタルで巻き取れる部分はデジタルで効率化し、生み出された時間を使ってきちんとお客様に向き合っていきたいんです。
末長さん:そう。だからお客様が求めるのであれば、紙でも電話でもデジタルでもいいんです。今回は、お客様がデジタル(=「LINEラクラク入庫予約」)を選び、そして喜んでくれています。今後も目先のDXに翻弄されることなく、こうした本質から目を背けないようにしたいですね。
清水:とても大切な言葉(=やさしいデジタル)をいただいた気がします。これから、我々もチャレンジしていく上でこの姿勢は忘れないようにしたいです。
今後は、「LINEラクラク入庫予約」をきっかけとして、試乗予約、中古車査定や保険の見直しなど、LINEチャットボットを総合窓口のような位置づけまで昇華させたいと思っています。今回の岡山トヨペット様との取り組みのような、お客様も働くスタッフの皆様も幸せにできるおもてなしを、もっと広げていくために全力を尽くしていきます。
この度は本当にありがとうございました!