【仙台銀行×ZEALS】わずか3ヶ月でチャットコマース経由のローン獲得件数480%UP!!競争力強化につながるリテールバンクのDX施策
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多くの地方銀行が、Webサイトへの集客を目的としたマーケティングやローンのWeb完結化などに注力する中、Webサイトに訪れた離脱顧客に対するアプローチを図れているケースは少ないのが現状です。先行者がいないからこそ、伸びしろがある領域かもしれないとチャットコマース®️「ジールス」の導入を決めた株式会社仙台銀行様。
現在、Web経由での個人ローン申込件数のうち、チャットコマースによる獲得割合は約10%に到達。直近5月には100件超の申し込みを獲得し、継続して成果を出しています。
地銀界のフロントランナーから「LINE活用による顧客アプローチの手法」や「チャットコマースにおける具体的な取り組み」を学ぶため、今回の対談が実現しました。
株式会社仙台銀行 個人営業部 個人営業企画課 課長補佐
柳町 俊悟 氏(写真左)
個人向けローン専門部署に10年以上在籍したのち、リテール商品の開発・各種キャンペーンの企画、広告宣伝やダイレクトチャネルの活用などを行う現部署へ異動。個人顧客に関するマーケティング施策を長年メインで担当している。
株式会社ZEALS チャットコマース事業本部 シニアアカウントプランナー
福井 惇 氏(写真右)
新卒で大垣共立銀行へ入行。営業店で約10年勤務の後、ITベンチャーへの出向、IT統轄部を経て、昨年11月にZEALSへ入社。銀行時代で感じていた「顧客接点の確保や顧客とのコミュニケーションのあり方をいかにアップデートしていくか」という課題に向き合うため、ZEALSへジョイン。現在は、金融業界をメインに担当。
地方銀行のローン企画担当者に共通する悩みとは
福井さん:私自身、現在の業務を通じて数々の地方銀行の担当者様とお話する機会がありますが、共通の話題として以下の様な声をよく耳にします。
ローン企画担当者の方々において共通の悩みは、計画達成においてこれまでの延長線上に止まらない打ち手が必要だと感じているものの実行に移しにくい現状があるように伺えます。
柳町さん:福井さんのおっしゃる通り、マーケティング担当者は多くの業務を抱えています。デジタル施策は重要なテーマですが、単にシステムを導入するだけではうまく運用に乗せることができません。行内の体制を整えることに加え、本当にデジタルに置き換えた方が良いのか見極めることも重要です。
弊行がジールスのチャットコマースを導入した当時は、まだ金融機関の事例も少なく効果見込みは未知数でしたが、個人ローンサイトの離脱改善施策を模索していたタイミングだったこともあり採用を検討しました。決め手は、成果報酬型の料金体系と運用サポートの手厚さでした。金融機関の事例が少ないことが、むしろ先行者メリットがあるのではないかと期待した面もあります。
福井さん:現在リターゲティング広告により離脱顧客へのアプローチを実施している金融機関も、今後はcookie規制の強化により、リターゲティングという広告手法自体が難しくなることが想定されます。他業界においてチャットコマースは、cookieに依存しない新たなリターゲティング施策として既に注目されており、金融業界においても今後注目度が高まっていくと思われます。
店舗の接客をチャットコマースで再現し、自行の競争力に
柳町さん:チャットコマースの魅力は、人的コストをかけずに幅広い世代に親しまれている「LINE」を用いて、チャットボットで丁寧な説明・接客ができるところにあります。店舗であれば、行員が常にお客様へ寄り添い、潜在的なものを含めお客様がローン選びで重視しているポイントを引き出したうえで、自行ローンをおすすめしたり、不安な点を解消したりすることができます。一方で、Web上ではある意味、顧客が自らページ上に情報を取りに来て申し込み手続きまでを行うセルフサービス方式となっており、店舗のように銀行が顧客とコミュニケーションを図りながら申込みを獲得することは難しいことが課題でした。
「お客さまの潜在的なニーズを簡単な質問を通してヒアリングし、その答えに応じた提案ができるため画期的だった」と語る柳町さん
福井さん:店舗へ来店されるお客様は、予めその銀行でローンを組むことを前提に訪れることが多いですが、Web上で申し込みが可能なローンについては、簡単に比較検討できてしまうこともあり、興味を持ってページに訪れたものの離脱してしまうユーザーの割合が店舗の場合と比べて圧倒的に多いですよね。多くの地方銀行では、Webページから離脱した顧客に対して十分な手当ができておらず、何らかの対策をしていれば獲得につながったかもしれない顧客をみすみす見送ってしまい、本来のポテンシャルを発揮しきれていないように感じます。逆に、意向を高めて獲得につなげられれば、それが競争力につながるかもしれませんよね。
今回の仙台銀行様との取り組みはその第一歩になったのではないかと感じています。
3ヶ月で獲得件数480%UPを達成、改善ポイントは友だち追加後のコミュニケーション
柳町さん:確かにそうですね。半年前の話になりますが、2021年9月時点のウェブ申込全体に占めるチャットコマース経由の申し込みシェアは約4%であり、正直満足のいく成果ではありませんでした。とはいえ、「LINE」と、双方向のコミュニケーションを実現する「チャットボット」をかけ合わせたチャットコマースのポテンシャルは高いと感じていましたので、改めて現状の会話体験の効果検証を行い、両社共通のKGIとして「2022年3月までにウェブ申込全体の10%まで引き上げる」ことを昨年12月に掲げさせていただきました。
福井さん:正直エキサイティングな目標でしたが、ジールスとしても優先順位をつけて施策を打っていくことにしました。一口にローンと言っても、マイカーローンとカードローンではユーザーの年齢層や目的に至るまで対象となる顧客像が異なりますし、ユーザーによってローンの検討度合や銀行選びの指標、資金が必要な時期などもさまざまです。
そういった思考の異なるユーザーに対する最適なコミュニケーションは、すぐに解明できるものではなく、特にオンライン上の接客においてはユーザーの反応をデータ(数字)で見ながら改善していくことが重要です。
仙台銀行様のチャットボットにおいては、ユーザーの思考に合わせた継続的なコミュニケーションやポップアップ表示の機会が十分なレベルになかった点や、診断コンテンツの魅力や最終的にローン商品をおススメする際の訴求が多くのユーザーが求めているものとは異なっているかもしれない、という仮説がありましたが、それ自体も当初は正しいかどうか分かりませんでした。数値データを元に、改善幅が大きいと思われる施策を中心に提案し、柳町さんからフィードバックをいただきながら進めていきました。
柳町さん:短期間で目標を達成するため、先月の振り返りと今月の重点施策を両社で共通認識を持って進められたのはよかったですよね。
特に助かったのは、提案いただいた施策を実行する上で社内稟議がスムーズにいくよう先回りしてサポートいただいたことです。福井さんに限らず、金融業界出身の方が担当のため、銀行業務をよく理解していただいています。そのおかげで、ポップアップやABテストを高速で繰り回し、会話体験の提案→修正→提案→修正を妥協することなく徹底できたように思います。
福井さん:ローンのプロである柳町さんと、LINE上の会話体験をつくるプロである弊社のコミュニケーションデザイナーがそれぞれの強みを持ち寄り、ワンチームで改善を進めていきました(失礼ながら、同じ会社で働いているかのような感覚を覚えました)。特に、ユーザーがLINEの友だちになり診断を受けた後の継続的なケアに着目し、プッシュ配信を通じて一人一人に最適なコミュニケーションを働きかける施策が成果に寄与したと考えています。
柳町さん:ワンチーム、まさにですね。その甲斐もあり、2022年3月実績でWeb経由での個人ローン申込件数のうち、チャットコマースによる獲得割合は約10%に到達しました。わずかに目標に届かなかったため「約」という表現にしましたが、件数でいうと12月と比較して3月は480%UPを達成しました。
これらの成果を踏まえ改善を継続した結果、最新情報にはなりますが2022年5月、ついに大台100件超のCV実績も獲得できました。
両社の取り組みで、量だけでなく追加コストも抑えながら件数を伸ばすことができたので、今後もシナリオ改善を継続しつつさらに獲得を伸ばしていけるよう期待を持っています。
システムを導入して終わりではなく、ワンチームで会話体験を磨き続ける
柳町さん:繰り返しになりますが、単にシステムを入れるだけではうまく運用に乗せることができません。成果につなげるには、協力企業の金融業務への理解が不可欠です。そのため、日頃より自行の推進方針や施策の優先度、提供サービスの特徴等について、丁寧に説明し、成功確度の高い施策を提案していただくためにも、何度でも必要な情報を提供することを心がけています。
同時に、協力企業には、私たち金融機関の悩みにどれだけ寄り添っていただけるかを重要視しています。ローン業務を例に挙げても、必ずしもウェブ施策が最優先課題ではありませんので、自社サービスの提案にとどまらない支援体制が信頼関係を作り、その後のサービス利用にもつながるものと信じています。ジールスの皆さんは、非常に理解が早く認識レベルを合わせることに苦労しませんでしたし、当行からの要望に対してレスポンスも良く、他社では真似できないスピード感を持っていると思います。
福井さん:ありがとうございます。社内でよく話すのは、ベンダーではなくクライアント様にとってのパートナー企業になろうということです。どのような会話体験をユーザーに届けられたら、1件でも多くのCVが生まれるかを意識しながら日々向き合っています。また、チャットボットの実力値は100%のものではないということを念頭に置いています。
店舗での接客は、何が良くて何が悪いかが数値に表れにくいですが、オンライン上では指標の数値に表れ可視化されます。クライアント様と一緒にユーザー視点におりていき、クライアント様が持っているデータや他業界の事例も参考にしながら仮説と検証を繰り返しています。チャットコマースに終わりはなく、常にワンチームとなって磨き続けることが大切だと考えています。
「特別な知見がなくても手が届く」リテールバンクのDX施策
福井さん:私自身が銀行に在籍していた頃から感じていたことではありますが、リテールバンクの主戦場がこれまで店舗だったところが、オンラインへシフトしつつあり、現在はその変遷期の真っ只中にあるように感じています。
もちろん、チャットコマース導入にあたっても、銀行側に、柳町さんの様なWebマーケティングに精通されている方がいるに越したことはないですが、クリエイティブの制作やきめ細やかな運用はジールスが行うため、特別な専門知識は必要ありません。むしろ、柳町さんの様にどうやったらCV(件数)を伸ばせるかという視点と熱意を常に持ちながら、一緒にPDCAを回していただけることの方が、重要度が高いと思っています。
柳町さん:Webマーケティングの世界は、知れば知るほど奥が深いです。「DX」という言葉が世の中で叫ばれていますが、その本質は一見難しそうで実はシンプルなのではないかと感じています。ユーザーの悩みや課題を想像し、どのような情報を届けていくか、またそのタッチポイントをどこにおくかを考えれば、やるべき施策が見えてきます。
そういう意味では、消費財とは違い、目に見えない・触れることができない金融サービスを、非対面でお客様に正しくご理解いただくための手段として、チャットコマースの将来性にとても期待しています。今後の取組として、離脱顧客へのアプローチという限られた領域にとどまらず、既存顧客に対してチャットボットを使ったソリューションを提供できないかと構想をジールスの皆さんと練っている最中です。
ローンのご契約者様を例に挙げると、チャットコマース上で常にコミュニケーションが取れる環境をご用意して、諸変更・完済などの手続きだけでなく、返済額を忘れた時の対応や各種相談等を一括で対応できるようになれば、これまで以上にお客さまの心情に寄り添ったサービスの提供が実現できると感じています。
福井さん:まさに、チャットコマースはリテールバンクのDX施策に直結すると考えています。銀行とお客様の関係は「継続性」を伴うものであり、取引の時間軸が長期にわたるのも、他業界とは異なる特徴の1つと認識しています。若い頃からお取引をいただき、人生の各フェーズに必要な金融サービスを提供し、金融面から人生をサポートしていく。その中で、継続的に満足のいく関係をお客様と築いていく手段の1つがコミュニケーションであり、この銀行とお客様との間のコミュニケーションを進化させていくため、ジールスのサービス領域も進化させていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。