ユーザーとの会話体験で新規獲得が大幅増加。オリックス生命の攻めのマーケティングを支援する会話体験の取り組みとは
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オリックスグループの一員として、生命保険業界で長年にわたり信頼される保険商品とサービスを提供しているオリックス生命。生命保険、医療保険、がん保険など幅広い商品ラインナップを揃え、お客さまのニーズに応じた最適な保険ソリューションを提案しています。オリックス生命理念として「想いを、心に響くカタチに。」という言葉を掲げ、お客さまお一人おひとりの想いに共感し、心地よい距離感で寄り添う存在を目指しています。
その一環として、同社ではSNSを通じてユーザーにとってメリットある選択肢を提案する顧客プロモーションの仕組みをZEALS(ジールス)のチャットコマースを活用して構築しました。
この取り組みは、オリックス生命の強みである商品ラインナップの豊富さを活かすデジタルマーケティングと、会話体験によるニーズやインサイト掘り下げの仕組みを組み合わせることで、同社ならではの商品メリット訴求と納得感のあるお申し込みへの導線創出を図るものです。
今回、この取り組みの背景について、同社のオムニチャネルマーケティング部 デジタルマーケティングチーム長 高橋 優太氏、同チーム 田鎖 良延氏、五十嵐 ゆずか氏、後藤 ちさと氏にお話をうかがいました。
生命保険の枠に捉われず、チャットコマースに取り組む
“わかりやすさ、伝わりやすさ”で評価が高い個人向け保険商品を提供するオリックス生命は、市場のデジタル化への変化の機運を読み取り、いち早くWeb販売チャネルを構築するなど、マーケティングのデジタル化に力を入れてきました。
一方で、市場のデジタル化が進むことで競合が増えていることから、よりパーソナライズされたメリット訴求やオファーなどの差別化の必要性が高まってきたといいます。
「SNSでの広告を見ても競合他社のバナーを見る機会が増えてきました。リスティング広告でもビックワード(Web広告や検索広告で使用される、検索ボリュームが大きい主要なキーワード)で競合が増えていると感じます。商品面や運用面でも、競合が増えている状態です」(田鎖氏)
同社では課題となりつつあった顧客開拓を強化するため、広告を運用する代理店とともに最適解を探りはじめました。こうした中で選択肢としてあがったのがZEALSのチャットコマースでした。
「当社で兼ねてから実施しているリターゲティング広告とは異なり、ZEALSの場合、LINEで友だち登録した人に対してプッシュ配信などを通じて情報を届ける仕組みがありました。当社のお客様にはLINEのアカウントを持っているお客様も多く、メッセージを一人ひとりにきちんと届けられると感じました」(田鎖氏)
顧客接点の中にチャット上でのコミュニケーションを挟み、顧客の疑問や懸念点を払拭するというZEALSならではのソリューションに、コミュニケーションの質が高まるのではとの期待に加え、サードパーティクッキーの規制で個人情報取得が難しくなる中、直に顧客と接点をもてるZEALSのソリューションは魅力的だったと話しています。
「資料請求、申込数の拡大を図る中で、ZEALSは新しい手段としてリスクも少なくやらない選択肢はないと思いました。」(高橋 チーム長)
このような新しい挑戦をできる背景には、組織文化的に生命保険の枠に捉われず、お客様のニーズや受け取り方を考えて、新しいことに取り組むオープンな雰囲気があったと付言しています。
「組織カルチャー的にもそうですが、新しいことにどんどん取り組もうというマインドセットが部門にあります。攻めたデザインの広告なども、率先してやっていこうという雰囲気ですね」(五十嵐氏)
資料請求のその先にある「転換率」に効果を実感
ZEALSが提供するチャットコマースは、Webサイトで意思決定をできずに離脱するユーザーに対し、LINEなどのSNSへ誘導し会話の中でユーザーのインサイトを拾い上げながら適切なオファーを展開します。保険商品などサービス内容や他社との違いがわかりにくい商品は、このチャットコマースの会話上で細かなヒアリングと、そのヒアリング内容に適した商品や特性の提示をすることが可能となり、ユーザーにとって納得感ある意思決定の後押しをすることができるようになります。
オリックス生命でも、他のサービスと同様に、ユーザーを資料請求まで促すコミュニケーションにおいてチャットコマースを活用し会話体験によるエンゲージメントの向上を図っています。実際にチャットコマースによる会話体験を行い、他のデジタルチャネルでの接点とは違う効果を感じているといいます。
「チャットコマース経由のユーザーはWebサイトから一度離脱をしているにも関わらず、熱量が高いと感じています。現在トラックプッシュ配信(LINEを通じた広告配信の一つで、特定のユーザー行動に基づいて個別のメッセージを送る仕組み)も実施中で、お客様が”熱い”うちに、お客様の行動を促せる仕組みがあるというのが良いですね。」(田鎖氏)
ZEALSはチャットコマース導入後も顧客に並走してキャンペーンの改善PDCAを回すため、継続的に効果を狙うことが可能です。例えば、コンバージョンポイントの工夫や、機能を追加するといった改善を行った事例では、CVRが改善前に比べ大幅に増加しました。また、副次的な効果として、資料請求したお客様に対するDM配信など様々な施策や営業接点につながるケースもあるほか、他のチャネルで接点をもったお客様が申し込みに至ったケースもあります。資料請求だけに留まらない副次的な効果を実感しており、「他の施策のアシストにもつながっている。親和性を感じている。」(高橋チーム長)と太鼓判をおしています。
オリックス生命保険 30秒かんたん保険チェック
実際に顧客と「会話」をしてみて、様々な定性的なデータを取得できたのも、大きな利点だと感じています。チャットでは、商品を提案する前に、商品購入にあたって魅力に感じる点や保険購入において課題だと感じる点を直接ヒアリングしています。
「お客様が本当に必要としているものを可視化できた点に関心を抱いています。会話は選択肢形式となっているため、統計分析に応用しやすいことも魅力的です。お客様との会話を通じて、我々のブランドに少しでもいい印象を持ってもらえる、そのようなシナリオ設計になっているのが良いですね」(田鎖氏)
この会話データから傾向・インサイトを導き出し、新しいシナリオ設計、会話体験の構築をブラッシュアップしていくこと、そしてよりお客様の”想いを、心に響くカタチに”することも計画しています。
AIによりフリーテキスト形式での顧客エンゲージメントも視野に
今後は会話のデータからインサイトを取得する取り組みを深化・強化するためにも、AIによるフリーテキスト方式でお客様と会話することに挑戦することも考えています。ZEALSのAutoChatは、大規模言語モデル(LLM)を活用し、フリーテキスト形式のチャットの内容をAIが読み取り、返答となる会話を生成していく機能です。ブランドが顧客とより自由にやり取りできるように細心の注意を払って作成されており、チャットでより自然な会話体験ができるようになっています。
「機能の進化なども必要ですが、AIの活用に関する最新事例はしっかりキャッチアップしていきたいですね」(高橋チーム長)