WebサイトCVRが1.15倍改善──NOVAが業界に先駆けてOmakase.aiを導入した理由とは?

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WebサイトCVRが1.15倍改善──NOVAが業界に先駆けてOmakase.aiを導入した理由とは?
〜決め手となったのは、「ZEALSへの信頼」と「進化し続けるプロダクト」〜
– 株式会社NOVAランゲージカンパニー 英会話企画部 次長・木島健太様
今年1月、ZEALSがグローバル市場向けにリリースした接客AIエージェント「Omakase.ai」。
現在では多言語対応も完了し、いよいよ日本市場での本格展開が始まっています。
そんな中、英会話事業を展開する「NOVAランゲージカンパニー」は、日本でいち早く「Omakase.ai」を導入。
AIエージェントという前例のない取り組みをどのように形にしてきたのか。そして、導入に至るまでの苦労や、Omakase.aiがもたらした成果・そして今後の可能性とは──。
株式会社NOVAランゲージカンパニー 英会話企画部 次長・木島健太様に、お話を伺いました。
(インタビュアー:株式会社ZEALS 執行役員 渡邊大介)
Omakase.aiの導入に踏み切ったのは、ZEALSのチャットコマース運用に対する信頼があったからこそ
ーーー本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。NOVAのマーケティングを牽引されている木島様に、AIエージェント導入のリアルについてお伺いできることを大変楽しみにしておりました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
木島様:
こちらこそ、本日はよろしくお願いいたします。
ーーー早速ですが、木島様が「Omakase.ai」に興味を持たれたきっかけについてお聞かせいただけますでしょうか。
木島様:
元々、公式LINEアカウントでのチャットコマース施策として、2年前からGabaとNOVAでZEALSさんのソリューションを導入しており、現在も有効活用しています。
その中で、ZEALSさんとは常に次の構想について話し合っており、少し前にはLINE上で展開する生成AI(接客AIエージェント)も導入していました。
そんな折、グローバルで先行し、大変評判が高いという「Omakase.ai」の日本版をリリースするとご提案いただいたのです。
私自身、LLM(大規模言語モデル)を基盤とした生成AIが登場してから、検索エンジンが主体だったマーケティングの潮流が変わり始めたと感じていました。
自社サイト内でも「AIエージェント」を用いた施策ができないかと模索していたため、この話を聞いた際は、「他社に先駆けて導入したい。今のうちにノウハウを積みたい。」と逆オファーさせていただきました。
過去にも「ネットでは売れない」「スマホでは売れない」「SNSでは売れない」といった時代があり、導入や対応が遅れた企業が競争力を失う姿を見てきましたから。
ーーーAIエージェントを用いたプロダクトやソリューションは多数存在する中で、なぜZEALSの「Omakase.ai」を導入していただいたのでしょうか?
木島様:
以前のインタビューでもお伝えしておりますが、これまでの取り組みを通じてZEALSさんには信頼を置いていたからですね。
単に「熱意だけ」や「数字が取れます」といった営業的な提案ではなく、弊社の業態の特性やサービスの強み、特長を把握し、クリエイティブをどのように作成するか、どの指標をどう改善していくかといった具体的なアウトプットを細かく提示してくださり、その作り込みの深さと常に改善する姿勢に信頼を覚えました。
正直、ご提案時には「Omakase.ai」の具体的なアウトプットのイメージはさほど湧いていなかったのですが、ZEALSさんになら任せられるだろう、ということで導入の意思決定を行いました。
Omakase.aiは、少ない工数でこれまで以上のインパクトを生み出せるポテンシャルがある
ーーーありがとうございます。実際に「Omakase.ai」を導入してみて、最初の印象はいかがでしたか。
木島様:
従来のチャットコマースと比べて、「ユーザーとの会話が広がる点」「LINE以外のプラットフォームで実施できる点」は大きな魅力だと感じています。
これまでのチャットコマースは、ある種パターン化された一問一答式の対話が中心で、「診断コンテンツ」などの決められたフォーマットに沿って、ユーザーが質問に対する回答を選択肢の中から選び、それに応じた結果を機械的に返す仕組みでした。
それ自体は昔から有効なフォーマットですし、今も有効に活用していますが、いずれChatGPTやGeminiといった高性能なAIチャットに触れた人には物足りなくなるだろうと考えています。
その点、Omakase.aiでは、ユーザーの自由な発話に対して、その内容や文脈をAIエージェントが適切に理解し、自律的に商品やコースを提案し、サポートをおこなってくれます。
ユーザーにとっては有効かつ適切な回答が返ってくることで、より興味や関心が深まり、もっと詳細な情報を聞きたいという気にさせてくれます。
今のAIチャットがそうなりつつあるように、AIの先に本物のスタッフがいるような、疑似コミュニケーション成立の可能性を感じます。
そもそもZEALSさんのチャットコマース導入時から、この精度の高い仕組みとコンテンツをLINEというクローズな環境で展開するだけでは「もったいない」と感じていました。
その点、Webサイト訪問者すべてに接点が取れる「Omakase.ai」は、ユーザーにLINEへの遷移や登録負荷をかけずに気軽に使ってもらえる点がいいですね。
ーーー実際に「Omakase.ai」を導入・実施いただいて、特に良かった点はどんなところでしょうか?
木島様:
導入コストや工数が非常に少ない点が最大のポイントだと思っています。特に工数の少なさですね。
私も過去にBIツールやMAツールの導入で非常に苦戦したことがあります。導入後の売上や作業効率を予測すると、明らかに導入メリットはある。ただ、他部署からは反対意見や細かな質問が出て、なかなか決定に至らない。
理由は新システム導入時の負荷の大きさです。簡単なものでも旧ツールからの移行、基幹データとの再連携、イレギュラーやバグの総点検はどこがやるのか、その際の停止期間をどうするか、旧作業スタッフの配置やマニュアルの見直しなど、導入検討部署以外の部署に膨大な工数と負荷がかかります。
私が過去所属したベンチャー企業でもそうなので、ましてや大企業であれば、他部署との連携やコンセンサス、役員会議に上げるまでの決裁フローが厳しく、スムーズに物事が運ばないケースが容易に想像できます。
その点、「Omakase.ai」は、提案時に教えていただいたとおり、ホームページを読み込ませるだけで初期設定ができるなど、立ち上げの早さが際立っていました。
普通なら半年から1年かかるようなところを、数週間で立ち上げられたのは驚きです。
もちろんそこからの調整は必要でしたが、ZEALSのみなさんもAIエージェントに対する深い知見を持ってサポートしてくれるので、弊社のような少人数のマーケティング部署でも、私一人で対応可能な点は非常に画期的な部分だと感じています。
AIエージェントによるリスクを制御するにあたって重要なのは、ツール以上に「人や組織の力」
ーーー運用のしやすさや管理の簡単さは私たちも重要視しているポイントではあるので、お役に立てているようで嬉しいです。
逆に、「Omakase.ai」の改善点や、今後さらに強化してほしい点はありますか?
木島様:
やはり、AIエージェントにどのような会話を成立させるか、また、意図しない発言をしそうになったときに、いかに制御管理できるか、という点は課題だと感じています。
今後、AIエージェントは一大トレンドとなり、エンジニア企業から後発サービスは次々と出てきそうです。ただ、導入企業が意図した通りに会話の流れを制御できるプロダクト、対応力のある企業だけが残っていくと思います。
ZEALSさんが先行者優位の利点だけでなく、今後も残るだろうと感じるのは、AIエージェントのスキルや知見だけでなく、人の購入プロセスを理解するコミュニケーションデザイナーの方々の存在です。
ZEALSさんがこれまでチャットコマースで培ってきた、対人コミュニケーション設計のノウハウの積み重ねですね。これは2年間のお付き合いの中で度々感じてきました。
導入企業のブランドやサービスについて深く理解した上で、コミュニケーション設計も大事にしてAIエージェントを制御できる点は、他社には真似できない部分ではないでしょうか。
単純なエンジニア企業ではこの経験値が足りないと思いますので、この競合優位性はなかなか崩せないと思いますよ。
ーーー反対に、「Omakase.ai」の導入に際して、社内でネガティブな意見はありましたか?
木島様:
積極的な提案は推奨される企業体質なので、概ね肯定的でしたが、AIエージェントが申し込み導線の邪魔になるリスクと、誤ったことや意図しないことを伝えるリスクは排除するべきとの意見は上がりました。
AIエージェントは、あえてネガティブサイドに目を向けて例えるならば「膨大な知識はあるが気が利かない社員」とも言えます。何でも知っているが、ユーザーから聞かれたことに対して回答すべきか、隠すべきかの判断ができないので、なんでも正直に答えすぎてしまうといったことです。
例えば英会話でいえば、自社の対面レッスンに誘導したいのに「簡単に学ぶならオンラインやアプリもありますよ」と答えるとか、全サービスを展開してどれが最善か迷わせてしまうみたいな。
個人でChatGPTやGeminiと会話している時なら、間違った誘導や余計な回答が出ても「AIってそんなもんだよね」で流せますが、企業サイト内に実装する以上、誤った情報の提示や獲得導線の阻害は許されなくなります。
特に我々は教育事業をメインとしているので、間違った情報を伝えてお客様にご迷惑をかけることはあってはならないと、導入に慎重さを求める意見も上がりました。
ーーーなるほど。そうしたハードルの中で、どのように導入を進められたのでしょうか?
木島様:
はじめに、これまでの過程において、「ZEALSは信頼できる会社だ」という認識が私をはじめ、社内にあったことが大きいです。
最初にZEALSさんのチャットコマースの導入を決めた際も、提案やレポーティング時に、単に資料を読み上げたり、説明するだけではなく、こちらの意図を深く汲み取った上で提案いただいており、小さなトラブル発生時も迅速に対応するなど、きめ細やかなサポートがありました。
そういった安心感が前提にあり、万が一意図しない挙動が発生しても、迅速に原因を特定し、私たちの求める方向に合わせた改善策をすぐに実行に移してくれる、と感じていました。
さらにはリスクヘッジとして、スモールスケールのテスト運用から始めること、何かあった場合はすぐに改善や修正を図ってもらえることを前提にして相談しましたが、その意図もしっかりくみ取っていただき、初期導入時のリスクを最小限にできたことで、導入に踏み切ることができました。
現時点でも「AIエージェントが間違った情報を提示していないかを証明していく」という難しい問いに対して、様々なアップデートや方法を提示いただいており、着実に進化を遂げています。
後は、NOVAの企業風土にも助けられました。当社の代表は、小さな提案に関してもメリットを感じるものなら積極的に目を通してくれます。その上でいいものはすぐに承認してもらえますし、それ以外でも「この条件ならやっても良い」「こういう理由だからやらない」という具体的なフィードバックがもらえます。縦割り企業の場合、提案稟議が様々な部署や会議体を行き来し、都合により割愛されたり、差し戻され、数ヶ月かかったあげく、「理由もわからず否決」といった例もありますので。
AIエージェントの制御をいかに人の手でマネジメントするかが重要
ーーーそうした組織文化も、AIエージェント導入を後押ししたんですね。
それでは、実際の「Omakase.ai」の成果について、現時点での率直な評価を聞かせてください。
木島様:
導入からまだ日が浅い段階ではありますが、「Omakase.ai」を導入したWebページ(オンライン英会話)のCVRは、導入前と比べて約1.15倍に改善しました。
NOVAのサービス全体に共通しますが、弊社のオンライン英会話サービスは、あらゆるニーズに応えるべくコースや料金体系が豊富です。一方、ユーザーにとっては選択肢が多く、すぐにはCVにつながらないケースもありました。
その点、「Omakase.ai」だと、ユーザーが目的や希望を質問した瞬間、AIエージェントから即座に自身にあった最適なコースを回答されるので、情報収集のハードルを下げ、迷いを解消した結果、CVR改善に寄与したと見ています。
とはいえ、まだまだ伸び代はたくさんあります。
さらなる成果創出のために、AIエージェントの体験を磨いていくことはもちろん、Webサイト上のコンテンツ体験を阻害しないで、相乗効果を発揮できるかという点も考慮する必要があります。
なので、まだ登山でいう1合目か2合目といったところですが、熟練カウンセラーのトークスクリプトや有用なコンテンツをUPすればどんどん賢くなりそうで、伸びしろは十分に感じています。
プロダクトのアップデートも、ZEALSさんからどんどん提案をいただいているので、これからさらに良い体験になっていくことを期待しています。
失敗を恐れず、未来に備える。企業がAIエージェントと向き合うために大切なこと
ーーー「Omakase.ai」に期待を寄せていただき、ありがとうございます。
今後のNOVAのマーケティングにおいて、AIエージェントで将来的に実現したいことがあれば、ぜひお聞かせください。
木島様:
将来的には、ユーザーの知りたいことに対して、プロフェッショナルレベルの専門知識を持ったAIエージェントが、ダイレクトに提案できる世界を実現したいと考えています。
最近のお客様の動向を見ていると、公式サイトをじっくり読む方が減っている印象があります。いくつもの企業サイトを見て、自身で比較検討するのではなく、比較サイトや口コミサイトの情報、SNS上のコンテンツで判断されている方が増えているように感じます。
そして、今後はこの傾向はさらに強まり、「自分が知りたいことに対する正解を教えて欲しい」と考えるユーザーが主流になると思っています。
つまり、冒頭でもお伝えした、お気に入りのAIチャットの回答で決める時代です。
今はまだ個人が参考程度でAIチャットを利用していますが、間もなくAIチャットやそれを利用した「AIエージェント」に聞けばなんでも分かる、と多くの人が認識するようになると思います。
「知りたい情報だけを取得し、判断したい」という潜在ニーズがあり、「このAIは何を聞いても正確に答えてくれる」とユーザーの信頼が高まったとき、「AIエージェント」はマーケティングの中で欠かすことのできない存在になると考えています。
そこまで信頼されるAIエージェントに育てるには「専門家のカウンセリング」や「セールストーク」を習得させ、ユーザーの質問に的確に応えられるようになること。
そうなれば、ファン化の促進や意思決定の後押しなど、マーケティングの上流から下流すべてをAIエージェントで支援できるようになる。そんな未来を期待しています。
ーーーまさに、AIエージェントがマーケティングのあらゆるフェーズで活躍する未来ですね。 最後に、Omakase.aiに限らず、AIエージェント自体の導入を迷っている企業の方々に、木島様からアドバイスをいただけますでしょうか。
木島様:
現在、AIエージェントの導入をためらっている企業にとってのネックは、新しい技術を導入する抵抗感と「AIエージェントを完璧に制御することが難しい」という懸念ではないでしょうか。「守り」という観点から見ると、どうしてもリスクは伴います。
ただ、いつかは導入するのであれば早い方がいいと思っています。その分ノウハウが溜まりますので。
その上で、スムーズに導入するポイントは「AIエージェント導入におけるパートナー企業を見極めること」です。
AIエージェントが想定した挙動を取らない時に、その対処法をわかっていること。そして、自社の事業や顧客について深い理解があるパートナーであること。これがとても大事になります。
NOVAでいうZEALSさんが実践してくれたように、提案時に「どんな文脈で会話を成立させ、どんなコンテンツを見せるのが最適か」、「意図しない動きをしたときに、どう制御するか」をロジカルに説明できる企業であれば、リスクも最小化できると思います。
SEOからAIO時代に移行したとも言われるように、いずれリスティングやSEOを中心としたマーケティングでは流入数を稼げず、自身の公式サイトやLPのCVRが悪化する時代が来るかもしれません。全てをAIエージェントに任せるのは性急にしても、少なくともノウハウを貯めておくことが、今後、他社に対する競争優位性を築く上で有利に働くのではないでしょうか。
ーーーありがとうございます。「AIエージェントは万能ではないが、運用できるパートナーと共に、スモールスタートでノウハウを蓄積していくことが重要」というメッセージですね。本日は大変貴重なお話をありがとうございました。
木島様:
こちらこそ、ありがとうございました。