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ミニアプリが注目される理由とは?国内外の事例から読み取るメリットと活用法

Written by 済松田 | 2019/12/25

Contents

最後にスマートフォンに新しいアプリケーション(以下「アプリ」)をインストールした日を覚えていますか?
また、インストールしたアプリは毎日使っていますか?
近年、アプリの飽和状態により多くのユーザーは、新しくアプリをインストールすることはおろか、インストール済みのアプリケーションを起動することにも辟易し、決まった数種類のアプリ以外は基本的に起動すらしていません。
ある調査では、「1ヶ月にインストールするスマートフォンアプリの数」を問われた8割近くのユーザーが「1ヶ月あたり0~3個」と回答しています。

出典:トレジャーアプリ   「スマホアプリ利用に関するアンケート」結果のご報告
Webサイトも同様に、ブックマークしたものの、それっきりアクセスしていないサイトがほとんどではありませんか?
メールでWebサイトへのアクセスを促されても、わざわざアクセスする気になれないことが多くなっていませんか?
本稿では、このような課題を一気に解消させるソリューションとして、今あらゆる業界から注目されている「ミニアプリ」について、注目されている理由や導入のメリット、活用法、国内外の導入事例を交えながら、解説していきます。

ミニアプリとは

巨大企業の提携で度々話題になる「Mini App(ミニアプリ)」。
中国では既に、「Wechatミニプログラム」、「Alipay」を筆頭にミニアプリ(ミニプログラム)が普及しており、日本でも「LINE」や「PayPay」などの、圧倒的なユーザー数を持つ企業が、ミニアプリの提供に乗り出しています。

ミニアプリとは、日常的に使うLINEやPayPayなどのアプリをプラットフォームにして、従来のアプリ群と遜色ない機能を提供する「アプリケーション上で起動する、アプリケーションの機能を持ったプログラム」のことです。
巨大なアプリの内部に小さなアプリがひしめくイメージを指して、これらは「ミニ」アプリと呼ばれています。

ミニアプリはLINEやPayPayなどの、ユーザーが日常的に使っているアプリ上で起動するため、ユーザーは用途別にアプリを起動する必要がありません。

さまざまな機能をひとつのアプリ上でシームレスに使い分けることができるため、ユーザーは動きを1アクション毎に止めることがなく、再度使用する際にもミニアプリの使用履歴やブックマークから即座に呼び出すことができるため、ストアで検索する手間もありません。

このユーザビリティの高さがミニアプリとこれまでのアプリとの決定的な違いであり、海外のユーザーからミニアプリが受け入れられている理由でもあります。

ミニアプリが注目される理由


出典:https://www.adjust.com/ja/resources/ebooks/adjust-global-app-trends-report-2019/

Adjustが発表した「インストール1週間後のアプリ継続利用率」によれば、
平均して約79%のユーザーが、アプリインストール後1週間以内に利用をやめてしまうことが分かりました。

ミニアプリが注目されている理由のひとつに、アプリが持つ、こうしたユーザーに使ってもらうための継続利用率の課題を取り払える点が挙げられます。
アプリをインストール、起動し、ユーザー登録を済ませたらクレジットカード情報を入力し・・・
といった、ユーザーが感じる決して小さくないストレス群を解消すると同時に、これまでは「離脱ポイント」と呼ばれていた手順をアカウント連携によって軒並みスキップできるようになるため、企業にとってもユーザーがCVしやすくなる事が予想されています。
WebサイトやECも同様に、ミニアプリがその機能をカバーすることができるため、わざわざブラウザアプリを起動する必要もありません。
「リンクを踏んだらブラウザアプリが起動し、意図しないWebサイトに遷移させられる」
という、ユーザーからすればマイナスの体験も起こらなくなることが予想されます。

上記のような背景と、既に中国のWechatやAlipayで実装され、普及しているミニアプリ群の事例に倣う形で、日本国内でも将来的にはこういった機能の充実が予想されており、ミニアプリは新しい市場として現在各方面から注目を集めているのです。

ミニアプリのメリット

ユーザー視点のメリットとして大きいのは、先述したインストール、個別起動が不要というメリットの他にも、従来のアプリでは、「個人情報の入力」、「クレジットカード情報の入力」という一連の作業が最初に必要であったのに対し、
ミニアプリは1つのアカウントで全てのサービスを利用できるため、これら一連の手順を踏む手間が省けるといったメリットも挙げられます。
また、ミニアプリには企業視点のメリットも多く、例えば最初から母数が圧倒的に多いアプリ上で動かすことができるため、ゼロベースでユーザー数を増やす必要がない点が挙げられます。
他にも、ミニアプリにアカウントのログイン情報を連携することで、ログインし直しによるユーザーの離脱を防ぐことが可能である点や、
このログイン情報の連携により、ユーザーが個人情報について都度入力する必要がなくなるため、
商品の購入やサービスの登録に至るまでのハードルが下がり、ユーザーがコンバージョンするまでの障害を限りなく取り除いた状態でユーザーにアプローチすることが可能になる点、
さらに、企業のアカウントは通知機能をオフにされにくいメッセージアプリ上でプッシュ配信を行うため、メッセージの開封率が非常に高い傾向がみられる点など、

ユーザーから見ても企業から見てもメリットが多いため、ミニアプリが普及している中国では実際にミニアプリが届ける体験が広く認知され、活発に購買に利用されています。

ミニアプリの事例

luckin coffee公式サイトより引用

中国のコーヒースタンド「luckin coffee (ラッキンコーヒー) 」では、Wechat上でクーポンの配布から注文、決済までを完結させる体験を提供しており、現在中国国内では大手のスターバックスに迫る勢いで店舗数や売上を急激に伸ばしています。

オンラインで事前に注文しておけば、あとは最寄りの店舗でコーヒーを受け取るだけというオフライン領域でのオペレーションを単純化したことにより、実店舗での提供の速さも実現しています。

出典:PayPay   “PayPayのアプリ内から「DiDiタクシー」が呼べるようになりました”

https://paypay.ne.jp/notice/20191128/01/

国内では、PayPayが早くもミニアプリを実装しており、DiDiのタクシー配車機能をPayPayのアプリ上で利用することができます。
こちらもひとつのアプリ上でDiDiのミニアプリを起動することで決済までのシームレスな体験を実現しており、今後のミニアプリ展開の足掛かりになることが予想できます。

ミニアプリが築く未来

これから凄まじい勢いで普及していくことが予想されるミニアプリですが、既にミニアプリが普及している中国を見るに、さらに先の未来では、OMO(Online Merges with Offline)という概念に突き当たることになりそうです。
OMOは、端的に言えば「オンラインとオフラインが統合される」という考え方であり、この概念が提唱されている中国では、実際にミニアプリの普及が消費行動のOMO化のトリガーになっています。
ミニアプリが届ける、
「モバイルペイメントとアカウントの連携により、オンライン、オフライン問わずスマートフォンひとつあれば予約、注文、会計まで完結させることができる」
というユーザー体験が、ユーザーがオンラインとオフラインを行き来するうえで障害となる要素を排除している(有り体に言えばものすごく簡単かつ便利である)ため、既に現金を含む全ての決済の4.2%以上をOMOが担っています。
もちろんOMOは現在進行形でまだまだシェアを伸ばしています。
今後日本でもミニアプリの普及が進んだ場合、利便性、ユーザビリティの観点からも、ごく自然にOMO化の道を進んでいくことが予想されます。

まとめ

ミニアプリは、ユーザー視点と企業視点のどちらから見ても優れたサービスになることがお分かりいただけたでしょうか。
どちらにもメリットがあり、海外では既に成功事例が出ているとなれば今後の普及、拡大は必然であると言えます。
また、国内外の事例から見ても分かるように、ユーザーにストレスを感じさせない体験を提供することが、離脱防止やユーザー数の拡大に直結しているため、今後は更なるユーザービリティの追求が鍵となってくるのかも知れません。