体験はオフラインからオンラインへ。2022年に求められる接客のあり方
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現在、多くの産業では売上が落ち込んでいます。
帝国データバンクが4月に発表した調査結果によると、新型コロナウイルスが業績に対して「マイナスの影響がある」と回答した企業は実に約80%以上に上っています。
出典:帝国データバンク調査
また、同機関が業種別に影響度を調査したところ、上位を小売や飲食業などの接客を伴う業種が占める結果になりました。
出典:帝国データバンク調査
引用元:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2004/02/news075.html#l_kt_tdbk_02.jpg&_ga=2.3273912.94780747.1603377840-1770424532.1573538934
この結果から、今後、所謂アフターコロナと呼ばれる世界で、これらの業種が売上を回復させていくには、どのような解決策を講じれば良いのでしょうか。本稿では主にこのアフターコロナにおける接客業にフォーカスして解説していきます。
オフラインの売上が激減した理由
コロナ禍でオフラインの接客業の売上が激減している理由として最も簡単に想像できるものは、ご存知の通り「接触を伴う」という極めてプリミティブな理由でしょう。
感染の拡大を避けるために、「3密を避ける」という意識改革が行われ、消費者は積極的に接触を避けるようになりました。その結果、「物理的な接触を伴う」という当たり前の体験が失われていく結果になり、実店舗を持つ業種が落ち込んでいます。
そして消費者は「接触を避ける」という目的で非接触の買い物に流れ始めました。
その結果オンラインショッピングの売上は伸び、先述した調査で「プラスの影響がある」と回答した業種もまた小売業がトップを占めています。このプラスとマイナスの業績を分かつ要因が「非接触の販路を持っているか否か」です。
オンラインの店舗をあらかじめ構えていた小売業にとっては今回の新型コロナウィルス感染拡大は追い風になり、接触を伴う販路以外持っていなかった同業種の企業にとっては向かい風になったことが推測できるかと思います。
オンラインが中心になる接客業
消費者の感染対策の一環として大きな打撃を受けることになったオフライン接客ですが、では今回の新型コロナウィルスの影響が収まれば売上は回復していくのでしょうか。
結論から述べると、おそらくNOです。
アフターコロナの世界の消費者は、すでにオンラインショッピングの利便性を知っています。これまでオフラインの店舗でショッピングをしていた層が、
店舗に出向く必要のある、接客の質もまばらで、カートに入れた商品を購入するまでに並んで待つ必要のあるオフラインのショッピングに戻ってくる可能性は低いと言わざるを得ません。
分かりやすい例を挙げるなら、AppleのiPodを筆頭に音楽がデジタル化することによって物理媒体であるCDそのものの売上は減退しました。
また、Netflixなどのビデオのサブスクリプション化が進むに連れて、レンタルビデオショップは大打撃を受け、次々にオフラインの店舗を閉鎖しています。
このことからも、オンラインの快適な体験を知った消費者は、それを知る前の体験に戻ってくることはないと言えます。
今回強制的に引き起こされたショッピングのオンライン化についても同じことが言えるでしょう。
アフターコロナにおける「接客」の価値
アフターコロナの小売業には、もはやオンライン化が必須であることはお分かりいただけたかと思います。
では、「接客」という体験はどうでしょう。
ECサイトでは、当然ながら「接客」という体験はできません。
例えばコンビニエンスストアのような、「買うものがある程度決まっている状態の消費者」には接客は必要とされていないため、ゆくゆくは失われていくかもしれません。
しかし、「自分が何を買うべきか」「どんな契約をすべきか」といったことが不明瞭な消費者には明確に接客が必要です。
商材のレコメンドや不安の払拭、契約が必要であれば一連の手続きの補助など、接客員によって、消費者ひとりでの買い物よりも良い体験を提供するところに価値は見いだせるのではないでしょうか。
非接触で待ち時間もなく、必要であれば接客員による接客を受けることができるようなモデルを確立することができれば、接客業としてアフターコロナの世界で売上を伸ばしていくことも可能になるかもしれません。
まとめ
これまで売上が落ち込んでいた接客業と、そうでない接客業の差は「店舗のオンライン化が進んでいるか否か」でした。
そして、これから訪れるアフターコロナの世界で接客業に必要とされるのは「接客のオンライン化」になっていく可能性が高いため、これからのためにもデジタル化やオンライン化を今のうちから推進していくことが、接客業目下のスタンダードになっていくのかもしれません。