オンライン 接客とは?メリットは?導入事例6選を徹底解説
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コロナ禍で何かと注目を集めているオンライン接客。
そのあり方は実に多様性に富んでおり、どこからどこまでがオンライン接客なのか、また、オンライン接客はどのようなモデルで使われているのか、またどのようなメリットがあるのかといったことが、情報過多で実はイマイチ掴みにくくなっているかもしれません。
そこで本稿では、日本を含む世界のオンライン接客導入事例を紹介しながら、そのメリットについても解説していきます。
6つの最新オンライン接客導入事例
・ロレアル(オーストラリア)
出典:https://www.glossy.co/beauty/kiehls-and-lancomes-trial-virtual-customer-service
オンラインにおける接客体験を実店舗と同等の質に高める試みとして、ロレアル オーストラリアが傘下のランコムとキールズにおいて、バックエンドプログラムである「Inside」の試用実験を開始しました。
Insideを使えば、コールセンターに居るオペレーターがライブチャット機能を使ってユーザーとコミュニケーションをとる際に、会話相手の顧客を特殊なアバターとして色分けして表示することができます。
この色の決め方がミソであり、瞬時に「新規顧客」、「アカウントを所有する顧客」「アカウントを所有していない顧客」などの情報によって色分けが実行され、その属性をオペレーターが一目でわかるようにしてくれます。
この他にも、色やアバターの持つアイテムによって見た目が変わるようになっており、初めてECを訪れた顧客は青色、2回目以降は黄色、緑色のアバターはサイトにログインしており、オーストラリア外からのアクセスはスーツケースを持っているといったように、ユーザーが何も話さない状態でも視覚的に情報を得て、オペレーターから最適なコミュニケーションを図ることが可能になっています。
更に驚くべきことに、ユーザーがECサイト上でした行動から、今そのユーザーは怒っているのか、楽しんでいるのかといった喜怒哀楽をAIが判断し、感情までアバターに反映させられるそうです。
メリット:オフラインの接客の「表情や身なりから情報を汲み取ることができる」という強みをオンラインで再現している
この事例では、対面の接客に欠かせない要素を網羅しつつ可視化された顧客情報を基に、接客員がユーザーの属性を判断できるところに大きなメリットがあります。
どの色のどんな形のアバターに対してどうコミュニケーションを取れば良いのか、といったテクニックのマニュアル化にも貢献できるシステムを使うことで、全店舗への情報共有、ひいては全店舗の接客の質を上げることが可能になっています。
・GUCCI(イタリア)
出典:https://www.gucci.com/jp/ja/st/video-appointment
ファッションブランドのGUCCIでは、ビデオ通話を使ったオンライン接客を導入しています。
ユーザーは自宅にいながら、GUCCI専門のアドバイザーから製品の紹介や説明を受けることができます。
・ブリティッシュメイド(イギリス)
出典:https://www.british-made.jp/topics/britishmade/202005260040540
革靴メーカーのブリティッシュメイドのオンラインショップでは、スタッフによる「オンライン サポート」サービスを実施しています。
遠方に住んでおり実際に製品を手に取れないユーザーや、革靴のサイズ選びや購入後のケア方法が心配なユーザーなどに対して、商品知識が豊富なスタッフとZoomを使用しながら対面で会話しながら相談することができます。
メリット:各社の専門知識を持ったスタッフの強みを生かした接客ができる
高級ブランドユーザーならではの悩みとして、「価格が高いため、より洗練された接客が必要になる」というニーズがあります。
上記2つの事例では、それぞれが自社ブランドの知識や理解に長けた人材をオンライン接客で活かせるところにメリットが産まれています。
ユーザーがいつでも、どこからでも相談できるため、ECサイトだけではカバーできない不安払拭のためのコンテンツとしても需要が高まっていくことが予想できます。
・CHANEL(フランス)
シャネルは、男性用のメークアップライン「ボーイ ドゥ シャネル(BOY DE CHANEL)」の購入者に対してメイクアップ アーティストによる製品の使い方をレクチャーする「オンラインビューテコーチング」を実施しています。
なかなか化粧品売り場には出向かない男性が、自宅から専門家のレクチャーを受けられるサービスを展開することでオンラインならではのベネフィットを確立しました。
30分間のレクチャーで、オンライン上で購入者のなりたいイメージや日頃の肌の悩みなどをヒアリングしながら、男性の身だしなみとしてのメイクアップを訴求しています。
メリット:オフラインではできないアプローチを可能にしている
上述したとおり、男性は基本的に自らの化粧品を購入するために店舗に出向く事はほとんどありません。
未だ男性向けコスメ商品の流通は発展途上であり、購入に躊躇する男性の方が多いことは想像に難くないでしょう。
そこを逆手に取り、シャネルは強気なオンライン接客をはじめました。
このオンライン接客であれば閉じた空間で、誰の目にも触れることなくコスメについてのレクチャーやレコメンドを受ける事ができ、興味関心はあるものの躊躇しているユーザーに向けたアプローチが可能になります。
この取り組みが実を結べば、これからのコスメ業界に凄まじいインパクトを与えることになるかもしれません。
・LALINE(イスラエル)
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000117.000024622.html
ラリンは、販売員が公式ECサイト上でユーザーに対してリアルタイムで接客できるツールを導入しました。このオンライン接客に予約は必要なく、テキストによるチャットを使った接客だけでなく、ビデオ通話によるオンライン接客にも対応しています。
メリット:いつでも、どこでも、どこからでも、予約なしで接客できる
予約のいらないオンライン接客に対応するということは、あらゆる角度からの接客を可能にします。
さらに、ビデオ接客だけではなく、チャットを使った文字のやりとりまで行える体験は、ビデオ接客を好まないユーザーまで巻き込むことを可能にするため、この事例のメリットは、非常に間口の広いオンライン接客である、という部分にこそあると言えます。
・BLUE LABEL(日本)
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000397.000009154.html
株式会社三陽商会が展開するウィメンズブランド「BLUE LABEL CRESTBRIDGE(ブルーレーベル・クレストブリッジ)」は、視聴のみの参加から1対1の接客まで、シームレスに切り替えられる、パーソナル接客型ライブ配信「BLUE LABEL STYLING LIVE(ブルーレーベル スタイリングライブ)」を実施しています。
PCやスマートフォン画面内の「手を挙げる」をタップすると、ライブ配信中のスタッフと実際に会話し、個別で相談・質問ができるとのことです。
メリット:ライブコマースから1対1の接客へ切り替えられる
「1対多の状況で、観客に向けたレビューやレコメンドのためのライブ配信を視聴している途中、特定のユーザーの購買意欲が高まった」という状況に対応するためには、1対1の接客に移動してもらうことがコンバージョンへの近道になります。
このモデルに実はよく似た事例が世界的に成功しているのですが、何だかお分かりでしょうか?
そう、テレビショッピングです。視聴者に向けて映像つきでおすすめポイントや価格等を発信し、視聴者からアクション(電話)をとることで1対1のコミュニケーションが生まれ、そこから商品の購入に至る、という大定番のモデルと大筋がかなり似ています。このモデルをオンラインの世界に持ってきたというだけでも大きなメリットであることが伺えます。
オンライン接客を導入する企業は今後も更に増えていく
上記の例から読み取れるものとして顕著なのが、「よりオフラインの接客に近づける」という点にどの企業やブランドが注力しているということです。
また、CHANELのように、店舗に出向かない層、出向きにくい層に焦点を当てて、買うためのチャネルを用意するといった、新しい視点でのオンライン接客も見られました。今後はこういった、よりニッチな層も巻き込むようなオンライン接客も増えていくかもしれません。各社の動向を引き続きウォッチしていきます。