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【社内インタビュー】“キャラクター×AI”でユーザーエンゲージメントを高める方法とは

Written by | 2025/07/04

“キャラクター×AI”でユーザーエンゲージメントを高める方法とは

-AIエージェント構築の現場最前線、その試行錯誤と進化-

AIの進化はとどまるところを知らず、AIエージェントがビジネスで使われるシーンが増えてきました。
マーケティングの世界でも、AIエージェントの導入がどんどん進む中、ZEALSでは“接客AIエージェント”として、ユーザー一人ひとりに最適なサービスや商品を提案するプロダクトを展開しています。

今回は、そんな最前線を走る若手エース、堀川さんに“成果につながるAI設計の極意”を聞きました。
AIによる誤った回答などのリスクや、ブランドらしさを表現するための工夫など、マーケター必見のリアルな視点が詰まったインタビューです。

 

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自己紹介

堀川虎之丞(ほりかわ とらのじょう)-Toraji-

北海道出身。
「オンライン上の購買体験におけるコミュニケーションの価値を高めたい」
という思いを持ち、2024年に新卒としてZEALSに入社。
入社後は自ら手を挙げ、新卒で唯一の新規事業部署に配属。
現在は大手企業向けに「接客AIエージェント」を導入する部署でプランナーを務める。

(インタビュアー:マーケティング部 山根)

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ーーー今回は、「接客AIエージェント」を支えるキーマンに話を聞くシリーズ第1弾。Torajiさん、よろしくお願いします! まずは簡単に自己紹介をお願いします。

堀川:
堀川虎之丞(ほりかわ とらのじょう)です。2024年に新卒でZEALSに入社して、今は2年目になります。
1年目は広告部門の新規事業チームに所属し、ユーザー体験の設計をしていました。ユーザーにチャット内でどんな提案をすればコンバージョンにつながるか、会話をデザインしながら日々考えていましたね。

その後、AIエージェントが注目される流れの中で、社内に専門チームが立ち上がり、僕もその一員として、大手企業向けのAIエージェント構築・設計を担当するようになりました。

 

ーーー最初からAIエージェントに関わっていたわけじゃないんですね。どんなきっかけでAI領域の業務に携わるようになったんですか?

堀川:
一言でいうと、「危機感」です。
昨年11月に自社開催のカンファレンスで「ZEALS AI Agent」が発表されて、そこから一気に社内でAIエージェントの活用が進み、「これはまずい…」と焦ったのを覚えています。

その流れに乗り遅れないように、AIエージェントに関する業務には積極的に手を挙げてきました。
そのおかげもあって、今年4月からはこの専任部署に異動することになりました。

 

設計の違いが成果を分ける。AI導入のリアルな最前線

ーーー現在は主にどのような業務を担当してるんですか?

堀川:
今は「AIストラテジックコンサルティング局」というチームで、主に大手企業向けに接客AIエージェントの導入を支援しています。
アパレルや食品・飲料などの業界をメインに担当していて、LINE公式アカウントと接客AIエージェントを活用しながら、ユーザーとのコミュニケーション上の課題解決に取り組んでいます。

これまで働いていた部署では、お客様の商品やサービスのコンバージョンを最大化するような運用が求められていました。
しかし、いま僕が取り組んでいるのは、「AIを用いてお客様のマーケティング全体の課題をどう解決するか」という領域なので、今までよりも広い視野が求められています。

 

ーーーというと、具体的にはどのような課題に向き合っているのでしょうか?

堀川:
今取り組んでいるプロジェクトでは「ユーザーのエンゲージメントをどう高めるか」ということが主題になっています。
これまでは積極的に商品を案内して購入に至ってもらうことが大事だったのですが、今はいかにユーザーからそのブランドへの好意を持ってもらうか?ということを考える必要があります。
頭の使い方を180度変えないといけないな、と痛感しています。

ーーー確かに難しそうですね。何か解決の糸口は見つかりましたか?

堀川:
必死に考え抜いて、まだ社内でも取り組みのないような先進的な企画を考えつきました。

大手のブランドになると、ブランド独自の“キャラクター”がいるケースが多いですよね。
そこに目をつけて、そのキャラクターの性格や口調をAIに学ばせて、まるでそのキャラクターと実際に会話しているかのようなコミュニケーション体験を企画しました。

無理に売り込むのではなく、会話を通じてブランドに親しみを持ってもらって、結果的に「なんかこの商品いいかも」と思ってもらえたら最高ですよね。
僕が考える“接客AIエージェント”の理想は、そういう自然な流れです。
まだ世には出ていないので実物を紹介できないのが残念ですが、実際にリリースに至った際にはぜひ紹介をさせてください!

 

ーーー面白いですね!キャラクターのAIエージェント化というのは、どのようにおこなうんですか?

堀川:
ZEALS AI Agentは主に以下の2つで構成されています。

・「サービスプロンプト」と呼ばれる、AIエージェント全体の挙動や発言を管理するプロンプト
・「ナレッジベース」と呼ばれる、一問一答式で個別具体的な発言を管理するプロンプト

「サービスプロンプト」に、そのブランド名や対象ターゲット、そのキャラクターの口癖や発言ルールをインプットすることで、そのキャラクターの特徴を持ったAIエージェントが誕生します。
例えば、「女性向けのアパレルブランドで、実際のショップ店員さんのように女性的で丁寧な言葉遣いで接して」というようなプロンプトを入力することで、そのAIエージェントはそのブランドのショップ店員のキャラクターのような接客を行うことができるようになります。

「ナレッジベース」には個別の想定質問とそれに対する回答をセットで一つずつ登録して、AIエージェントがあらゆる話題に対応できるようにチューニングしていきます。
例えば「何がおすすめですか?」という質問に対して、「まずは重視しているポイントを教えてください」というような返答を登録するイメージですね。
そうすることで、ユーザーから「商品が多すぎて自分にピッタリのものを選べない…」という会話が行われば、AIが自動で「気になるポイントを教えてくれたら、あなたにとってベストなアイテムを紹介するよ!」という返答をしてくれるんです。

ZEALS AI Agentの凄いところは、ユーザーの“意図”もちゃんとくみ取れる点です。
たとえ質問が少し違っていても、背後にある気持ちを読み取って、それに合った回答をしてくれる。
設計者の工夫次第で、かなり柔軟に動いてくれるんです。

こういった高レベルの機能は、ZEALSだからこそできるものだと思っています。
社内には、Salesforce US本社で、Einsteinと呼ばれるAIエージェントのプロンプトエンジニアリングをリードしていたメンバーを中心に、グローバルレベルの開発組織が出来ています。

徹底したブランド理解×ターゲット理解こそが、優れたAIエージェントをつくるカギ

ーーー設計にあたって、特に大事にしているポイントは何ですか?

堀川:
そのブランドの持つ世界感は何なのか、キャラクターの特性はどんなものか。商品やサービスのラインナップはいくつあって、それぞれどういった特徴があるのか。
大きなコンセプトから具体的な詳細情報に至るまで、隅から隅までリサーチし尽くします。

その上で、大事にしているのは「自分が会話したい」と思えるAIエージェントになっているか。
公開されている情報だけリサーチして空想上のターゲットに当てはめるのではなく、僕はそのブランドの実際の店舗に訪れてみて、買い物をする人々を観察したり、自分がターゲットならどこで迷ってAIに聞いてみたいと思えるかを考えたりしています。

大勢のマスに当てるより、N1に刺さることを意識しています。
「20代男性」などフワッとしたターゲットのままだと、顔が全然見えてこなくて良い企画が思い浮かばないんですが、ターゲットをN1レベルまで落として考えられた時にはじめて、自分にとっても心から納得する企画ができあがります。

 

ーーーすごい深掘りですね。AIエージェント設計で特に難しいと感じるところはどこでしょう?

堀川:
いわゆる”ハルシネーション”(※AIが誤った内容をまるで事実かのように回答すること)を防ぐことですね。

ブランドの看板を背負った接客AIエージェントを制作するということは、致命的なハルシネーションは必ず防がなければなりません。
少しの嘘がブランド全体の価値を毀損する可能性もあるので、そのリスクについては僕自身も十分に理解しながら、ブランドのストーリーや細かいコンプライアンス要件などをしっかりキャッチしAIに学ばせるようにしています。

AIエージェントの挙動の制御には僕自身もかなり時間をかけて取り組んでおり、先ほどの「サービスプロンプト」と「ナレッジベース」にさまざまな指示を入れることで試行錯誤しています。

本当に嘘をつかないか、100回以上もAIと会話してテストをしたこともあります。

実際に、いくつかプロジェクトではハルシネーションを防ぐことに成功しており、お客様からの承諾も得た上でローンチすることに成功しています!

お客様との目線合わせを経て、納得感のあるAIエージェントを設計

ーーー確かにこれは大変そう・・・。実際にお客様とお話をしながら磨き上げていくことも重要そうですね。

堀川:
まさしくそうです。

私たちの「ZEALS AI Agent」に興味を持ってくださるお客様は、AIエージェントへの期待値が高い分、実現したいこともすごく多いんですよね。
「CRMと連携して全部自動化したい」とか、「AIエージェントで全ての顧客対応を完結させたい」とか。

もちろん、なんでもかんでもAIでできるわけじゃないですし、僕たちの考えをまっすぐに提案してもすぐには納得してもらえないことも多いです。
だからこそ「本当は何の課題を解決したいのか?」という本質的な部分を見極めたうえでAIエージェントの設計を提案するようにしています。

しっかりとお客様と対話を重ねて、一緒に課題を特定して、何度もフィードバックをもらいながら形にしていく。
こうすることによって、お客様にとっても納得感のある機能を備えたAIエージェントを作ることができます。

 

ーーーありがとうございます。たしかに、AIエージェントは何ができるのか?という部分を言語化することは、自分を含めてあまりできていない気がします。

堀川:
そうなんですよね。
まだビジネスのシーンでAIエージェントが使われているケースが日本では少ないからこそ、誰もが手探りな状態だと思います。

なので、逆に僕としても、お客様からは様々な要望を遠慮なく伝えてもらった方がありがたいです。
そこからしっかり話を膨らませたり、一緒に課題を特定しにいくプロセスを共にすることで、僕の思考も整理されるので。

 

AIが“当たり前”になる世界をつくりたい

ーーー最後に、AIに日々向き合い続けている堀川さんは、今後AIを用いてどのようなことを成し遂げていきたいと考えていますか?

堀川:
AIとコミュニケーションをとるのが当たり前な世界をつくりたいです。

世の中の人の多くはChatGPTとだけ会話するケースが多いと思いますが、僕はもっと色々なAIと世の中の人が話せた方がいいと思うんですよね。
たとえば、歴史上の人物をAI化して話すとか、なんなら自分の乗ってる車や自分の筋肉とか。
万物と話せるようになる世界になるとめちゃくちゃ面白そうじゃないですか?

まずは、その入り口として「ZEALS AI Agent」で企業のブランドやキャラクターをAI化し、ユーザーの皆さんに興味や好意を持ってもらう。ここにフォーカスしきります!
自分の設計したAIもまだ世には出ていないので、まずはここからですね。

ーーー独特の世界観ですね(笑)今回はありがとうございました!

 

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